佐江衆一、「江戸職人綺譚」
この本の前に、「自鳴琴からくり人形」を読んでいる。それでよかったなと思い他にも
作品がないかと探して見つけたのがこれだ。
前の作品は、江戸職人の技の冴えとこだわりが魅力的だったが、この作品は勿論それも
あるが、その職人とその技にまつわる人間模様が描かれていて又別の楽しみになっている。
錠前師三五郎、江戸城奥深く己自身の畢竟の技に挑戦する男。
凧師定吉、がんこに正統を貫く男。
葛籠師伊助、行き倒れた女の想いをたどってみたら・・。
人形師舟月、娘を殺したのは本当は誰だ。
大工、常吉 鉋をめぐる職人と女の葛藤。
化粧師代ノ吉、化粧の技が女を変え、人生を狂わせる。
桶師浅吉、夜鷹と桶師のたった一夜の想い出。
女刺青師おたえ、総身彫り九紋龍の男と白粉彫り羽衣天女の女が抱き合うと何が
浮かび出るか・・・・
引札師半兵衛 今のコピーライターかな。
江戸情緒あふれる作品です。
吉田篤弘、「つむじ風食堂の夜」
映画にもなって評判の小説を私も読んでみた。
ふとしたはずみで知らない街に迷い込んで、しかし実は良く知っているけど
どこか分からない街であって、振り返ったら、街角に食堂がある。
灯りがついている。腹が減っているようだから中に入ってみたら、この店は
コロッケがおいしいと自分は知っていて、それを食べていたら、知っている
けど名前が分からない人がいて・・・
わけがわからないけどこんな事を連想してしまいました。
月舟アパート、古本屋さん、帽子屋さん、手品師そしてつむじ風食堂。
不思議な世界です。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。