最近、中国の桂林やベトナムのハロン湾の山水水墨の景色の事を想い出している。
書き溜めた日記代わりのノートブックや、水墨で書いた旅の落書き帖を見返す
のは楽しいものだ。いろんな所の、いろんな旅が目の前に蘇ってくる。
そうして、又、新しい旅に行く気持ちが盛り上がって来るのだ。
今日は、ハロン湾だ。
海の桂林と言われている土地なので、暗い静謐な風景を想像していた。
しかし、明るい。初夏の昼間だから余計そう感じたのかもしれないが、
軽く、明るく、穏やかな景色だ。
山水水墨の世界に想いを重ねようとしたら、船の行く先々に、筍のように
ぽこぽこと飛び出した奇岩、奇山の島々を見ながら、
船の行く道を川と見立てて、島々を川岸と見立てて、目をつぶると
静かに景色が浮かび上がる。
隋園食単を書いた、袁枚にこのような詩がある。
江到興安水最清 青山簇簇水中生
分明看見青山頂 船在青山頂上行
「水中に生えた筍のような山、その山頂が水に映った川を船で行くと
頂上を次々と乗り移って行くかのようだ」
という風に思えばいいのだろうか。
確かに、こういう奇岩、奇山があって、鍾乳洞があってと桂林と良く似た
景色ではある。
帰りに、行った土産物屋が運転手が無理に連れて行ったと思って怒ったが、
実は、ベトナム戦争で被害を受けた子供達の社会復帰プログラムの場所
だった。
反省しきりであった。