インドで買ったペーパーナイフ

先日、古本屋で荻原朔太郎の詩集を買った。良く見るとページが切られて
いない。繋がっているのだ。誤装丁ではない。わざとだ。
ページを少しずつ切りながら、読み進めて行くのだ。大きい紙に印刷して
1ページずつ切らずに、そのまま製本して、読者が切るのだ。
「これはペーパーナイフが要るな」、「そういえば昔買ったのがあったぞ」
と思い出した。
昔、たまに印度に仕事で行っていた頃、バンガロールの土産屋で、白檀の
ペーパーナイフを買ってあったのだ。

白檀はインドでは「Sandal Wood」という。因みに中国では「栴檀」という
そうだ。「栴檀は双葉より香しい」というのは白檀の香りを強さを言っている
のだ。
だから部屋中に良い匂いがするという事で買ったが、それほどきつく匂う
わけでもない。
白檀では、ヒンズーの神の偶像みたいなのも沢山あって、幾つか買ってきてある。
しかし、ニセモノかどうかはわからない。
それで、買った当時、何かを切りたいと思い、探した事を思い出した。
昔買っておいた「漱石全集」初版本の復刻シリーズの「我輩は猫である」が
ノーカット本だったのだ。それで使ってみた痕がある。
しかし、途中でやめている。面倒になったのだろう。
実はこの本かなり長い。確か、高校時代に漱石に夢中になった事があって、
殆ど全作品を読んだはずだが、忘れてしまった。
漱石、渾身の作のはずだから、また、時間を作って読み直してみよう。
私は、漱石なら、「虞美人草」が好きだったなあ。

毎週月曜はこだわりのモノの話です。