映画、「チスル」を見た

もう公開されてから何日もたっていて、しかも平日やのに気がついたらほぼ満
員のお客さんがいるではないか。それだけ関心が高いんやなあと思った。
済州島4・3事件を題材にした映画なのだ。第2次大戦後、韓国の南北分割の
歴史の中で殆ど公にされなかった暴徒鎮圧の名の下になされた民間人無差別大
虐殺の事実を明らかにする映画だ。
済州島の冬は厳しい。
しかも、農民たちは、家を捨ててどこかに逃げなければならない。彼らを殺す
為の軍隊が迫ってきているのだ。女子供を連れてどこへ行けばいいのだ。
体がいう事をきかず動けない老人もいる。
赤子も妊婦も連れた避難民たちは山奥の洞窟で暮らし始めた。
寒い冬の中、食料も燃料も尽きてきた。
山里の暮らしがこんなに美しいのかと息を呑む映像がつぎつぎに現れる。
とうとう軍が殺戮を始めた。
むごたらしい画面はあまり写さない。しかし、その恐ろしさ、えげつなさは充
分わかる見事な表現方法だ。
兵士達にもためらいがある。
拒絶反応もある。
しかし、それが止められることはなかった。
殆どの農民たちは何故殺されるのかわからずに死んでいったのではないだろうか。
「アカは大嫌いだ」、「アカは殺さねばならない」と言われても何の事か理解
できなかったろう。
すさまじいばかりの映像美で語られる、哀しい哀しい物語だ。
歴史認識じゃの、領土問題じゃのとわーわー騒ぎ合う前に、どちら側にいる人
間にとっても二度と起こしてはならないことは沢山見てきたはずやから、そう
いうことこそ無かったことにしないで、どうすれば二度と起こさないで済むの
かお互いに理解しあって語り継いでいくことが大事なんやろと思う。

eiga140410

まるで水墨画のような景色と言われる世界を、本当に水墨画で描くのは実は難
しいのだ。

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ありがとうございました。