白川静+梅原猛、「呪の思想」
最近、篆刻を習っている。元々は水墨画を描くときに、自分の雅号の印を押し
たり、ちょっとしゃれた印を押したりしたいんで自己流で彫り始めたけどなか
なかうまいこといかんので一回正規のやりかたを習てみよと思ったしだいだっ
た。篆刻と言うのはその名の通り篆字と言う書体で書いた字を石に刻むのだ。
そやから篆刻を習う時には篆字も一緒に習う必要があって、どっちか言うとそ
っちの方が大事だったりするのだ。元々、そういう字が好きだったんでそれは
望むところなのだ。篆字のもっと古い字体が金文と言われるやつだ。こうなる
ともう象形文字に近い。ちょっとした知り合いに中国の金文の先生がいる。こ
の人の書は素晴らしい。鳥や魚やいろんな動物が混ざった象形文字風の文字を
雄渾や運筆でぐいぐいと書いていくと書から一気に呪力が踊りだしてきそうな
気すらするのだ。白川静によると元々文字は、祭祀を司る形を現したものなの
だそうだ。生贄をささげて未来を占ったり、戦勝を祈ったりするんやから、呪
なる力が備わって当然なのだ。孔子もきっと祭祀を司る人だったはずだと言う。
祭祀を司る人で詩人で文字を扱う人。
大友家持もそうなんやね。
中国の古代と縄文時代との関連、三星堆の遺跡から見られる長江文明と日本と
の関係などなど興味深い話が多い。
今度は孔子の本を読んでみよう。
藤原てい、「流れる星は生きている」
この本を今頃読んで感動していたんでは、はずかしいんかもしれん。
しかし、この作者が、「日本人の品格」を書いた数学者の藤原正彦の母であっ
て、作家、新田次郎の妻であると言うのも全く知らんかった。
新田次郎が気象台の役人として、満州国の首都新京に勤務している時に日本の
敗戦の時期となる。その混乱の中で、夫と別々になり、赤子を含む3人の子供
を抱えたていが、満州から朝鮮を通って日本に帰るまでの苦難に満ちた旅を書
き綴った物語なのだ。敗戦下に敵地を引き上げる人たちを襲う悲劇と苦難、人
々の生きるための葛藤が見事に描かれている。
新田次郎も同様な苦労をしてるはずやのにこういう時代の事を描いた小説が全
くないようだ。とても書くという行為に昇華できない経験をしてしまったのか
もしれない。
それにしても、こういう両親を持ってしまうと必然的に作家になってしまうん
やろね。
この本も「書淫日記」を見て読みたくなった本だ。
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ありがとうございました。