ロバート・カーソン、「46年目の光」
これはすごい本だ。最初は、いわゆるサクセスストーリーとか根性モノ、様々な困難を
克服して奇跡を起こした男の物語りと受け取っていた。
だって副題は、「視力を取り戻した男の奇跡の人生」と書いてある。
確かにそういう話でもある。しかしそれ以上に、「人間の眼」というものの素晴らしい
働きを解き明かしてくれているのだ。
よくえらい坊さんとか、まじない師とか、魔法使いとかがあらわれて、眼が見えない人
に触れたらたちまち眼が見えるようになったとかいう奇跡の話があって、そんなすごい
こともあるもんだと信じる人も信じない人もいるが、そんな話は全て、眼が見えるように
なった時点で、眼が見えていた人と同じになるという事があたりまえの前提になっている。
しかし、実は違うのだ。物理的に眼が急に見えるようになっても、眼が見えている人と
同じ対象認識はできていないのだ。
ただ光が平面的にどっと押し寄せてきて何が何やらわからないのだ。
何かの輪郭と認識したり、それがモノなのか動物なのか顔なのか手なのかを理解したり
奥行き感、立体感で全体を見渡したりという働きは全て学習によるものなのだ。
眼が見え始めてからずっと、脳の中のニューロンと視覚が協力しあって人間の「見える」
という機能を完成させていくのだ。
もし、生まれて早いうちに視力を失って、何十年もその機能を使わなかったら、それに
携わるニューロンは別の用途に割り当てられてしまって、再び見えるようになっても
学習する機能が失われてしまっているのだ。
したがって、見えるようになったことが、「モノを見て暮らす」ことにはつながらない事
が多いのだ。
やっぱり人間はすごいのだ。
「モノを見る」というのは学習だったのだ。
伊坂幸太郎、「アヒルと鴨のコインロッカー」
これって推理小説の一種なのか?
なかなか面白い。楽しい本だ。
ブータンは仏の国。祈りの国。争いは無い?
誰もが生まれ変わりを信じている?だから死ぬのは怖くない?
「あんなやつらは鳥葬にしてしまえ」
「鳥葬って殺し方じゃなくて、死んだ後の弔いかた」
さて、何がおこるのでしょう。
あなたは、あした本やを襲いますか?日本人より日本語がうまいガイジンと。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。