坂口安吾原作の映画と聞いて興味を持った。それで早速原作を読んでみた。
ネットの青空文庫から無料でダウンロードできるんで楽ちんだ。
「戦争と一人の女」と「続戦争と一人の女」がある。
最初のは男の目から見た話。後のは女の目から見た話と言う仕立てだ。
後の話のほうが面白い。
・・・・
女は小さな酒場の主人で妾であったが、生来の淫奔で、ちょっとでも気に入る
と、どの客とでも関係していた女であった。この女の取柄といへば、あくせく
お金を儲けようといふ魂胆のないことで、酒が入手難になり営業が難しくなる
と、アッサリ酒場をやめて、野村と同棲したのである。
・・・・・
さうだな、どうせ戦争で滅茶々々になるだろうから、ぢゃ今から滅茶々々にな
って戦争の滅茶々々に連絡することにしようか、と笑って答へた。・・・・・
:坂口安吾、「戦争と一人の女」 青空文庫より
こうして坂口安吾ワールドのような退廃の匂いがする物語が始まる。
戦争は益々激しくなり、毎日のように空襲がある。
身の周りは廃墟と死の匂いが濃くなっていく。
男はその濃度に溺れて絶望していく。
女はその濃度で己を縛る総てを破壊し尽くせと言う。
戦争で片腕をなくして帰ってきた男がいる。
死の匂いがぷんぷんしている。
戦争がこの男の心を壊してしまったらしい。
妻とではうまくいかない。
行きずりの女をだまして暴力を振るって首を絞めながらでないと満足を得られ
ないようなのだ。
男には狂気がとりついた。
退廃と狂気のはびこる時代だった。
別の話が入っているから原作どおりではない。
しかし、それはそれでいいのだ。
男女の過激なシーンが一杯出て来るものの劣情を催す話とは全く関係ない。
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8月29日
最近読んだ本、「2666」
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