アラギ島に行く道中だ。
道は有田川に沿って延々と登って行く。適度に曲がりくねって、適度に勾配があって
車で走って楽しい道だ。
紀州の山の中は、緑が濃くて、山は優しくなだらかで、里山や田畑がふんだんにあって
走っていて飽きない。
車でどんどん入り込むのは環境の為によいことではないが、体中が自然に触れるという
機会が少ない人間にとっては、時にはこういう楽しみも得難いものだ。
それで、走っていると、「友鮎」を売る店の看板がところどころに見えた。
そろそろ、「鮎の友釣りの解禁の時期なんだなあ」と思った。
子供の頃、父親と鮎釣りによく行った。この川ではないが、やはり山の中だ。
父親は友釣りをし、子供達は川遊びだ。
友釣りというのは、釣り糸に鮎をつけて川を泳がせると、元々そこにいる鮎が、
テリトリーを侵されたと思って攻撃してくるそうなのだ。そのちょっかいを
だしてくるタイミングを見計らって、友鮎と共につけてある釣り針にひっかける
のだそうだ。難しいので、ちょっと真似てやってみてもなかなかうまくいかなかった。
父親は、時にはヤスを手に川に潜り、浅い急流を平べったくなって廻りながら
川魚をうまく突き刺してとっていた。
それを笹に次々と突き刺して置いておくのだ。
そして、休憩。
川べりで、焚火をして川遊びで冷え切った体を温めながら、その魚を焼いて食うのだ。
こういう食の思い出は忘れ難い。
煙の匂いと、ほの苦い内臓の味と川魚。
結局魚釣りは上手になれなかったなあ。
私も息子も。
鮎の友釣り
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