始まりは、冬から春に変わる頃だろうか、冬の気配を十分に蓄えた画面からだ。
そこからいきなり瑞々しい緑の景色が現れる。冬の気配の中を歩いてきた老師
も濃厚な木々のなかで余裕を見せている。透明な春の到来なのだ。
更に進むと、だんだんと暖かい日差しのなかの長閑な風景が現れてくる。
四季山水図と言うても明確に春夏秋冬の特徴を描き表しているわけではない。
そんな気分かなあという程度に見ておいた方がいいようだ。夏から秋にかけて
の風景が一番真ん中で、いちばん変化に富んでいて、見ていて一番気分が良く
なる景色が続いている。
葦が茂った港の風景から始まって、凛とした山の中で語り合う高師たち、8重
の塔が現れ、お寺が現れた後、更に進むと又水辺の景色に変わっていく。
こんどは湖なんやろか。もしかしたら西湖をイメージしてるのかもしれない。
今年の4月から7月まで過ごした懐かしいところだ。
そして、収穫の喜び。村人達が生き生きと躍動している。
それから冬に入って、静かな雪景色に移っていく。そして又、最初にもどって
続きをみたくなるように気持ちは続いていく。
幅約40cm、長さ約16mの長い長い大作だ。ゆっくりゆっくり見ても全く
あきることはない。も一回ゆっくり味わいながら見よう。動くのが惜しいと思
う場面がいくつもある。
どの部分を切り取ってもそれだけで画になるようなのだ。
しかも墨も色も昨日描いたかのように鮮やかだ。もしかしたら展示用のレプリ
カかと思ってしまうくらいだ。
破墨的な大胆不敵な使い方は殆どなくて、細かく丁寧に描いている。線が実に
きれいで、中国の正統的な筆つかいを思わせる。
色はあくまでも淡く、墨色が中心で色彩は目立たないよう描かれているが、そ
の色に透明感があって美しく、存在感も十分だ。
中国、杭州の美術学院で勉強の為に、黄公望の富春山居図のレプリカを散々見
てさすが水墨画の本拠地と感動していた。その枯れた味わいは見事なものであ
ったが、我らの国にこんなすごいものがあるなんてすばらしいではないか。
さすが、国宝。
ちょっと遠いがここまでやってきて本当によかった。
立ち去り難いが、ようく頭の中にたたきこんで画業のこやしにしよう。
この展示室の画は残念ながら撮影禁止やから写真にはとれない。
それにしても、雪舟はこういう風景をどういう記憶を元に発想したんやろ。確
かに中国ぽい風景が多いんで中国留学時代に見た景色や、中国画が参考になっ
てると思うけど、日本の景色も印象の中にはあったはずだ。
こんな資料も貰ったから足跡も訪れて見たいものだ。
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ありがとうございました。