ラオス、ルアンパバーン遊-27、雨の朝に

ルアンパバーン最後の朝の目がさめた。外では水の音がする。悪い予感や。
やっぱり雨が降ってた。
しかし、わしには策がある。備えあれば憂いなしだ。ルアンパバーンは雨季と
わかってたんで勿論傘は持ってきてるが、靴も濡れたら替えがなくて気持ち悪
いので雪駄を持ってきてるのだ。傘をさしてこれでぺたぺた歩いたら何の問題
もない。さてそれでは朝飯の粥でも食いに行こうと出発した。
足元は冷たくて快適だ。ホテルの出口から石の階段を下る。結構な落差がある。
硬くてつるつるしてるから気をつけよう。
と思ったとたん、つるりと滑った。
「いたたた・・・」、背中にリュックを背負い、左手に傘を持った姿勢のまま
背中からこけて階段を3段ほど滑り落ちた。
しばらく呆然としていたが起き上がって怪我が無いか調べて見る。
背中はリュックがあったから大丈夫だ。その代わり腰をしたたか打った。何か
こぶのようなものができてるが打ち身だけですんだようだ。右手はなんともな
いが左手がひどい。傘も壊れてるし肘から下に15、6cmほどの擦り傷が出来
て血が出てる。ひりひり痛い。このままという訳にもいかないんでホテルのフ
ロントまで行って薬はないかと聞く。塗り薬は無かったがバンドエイドを貼っ
てもらってまあこれでしゃあないか。後で調べたらこういう時のために、オロ
ナイン軟膏を持ってきていた。わしはなんと準備がええんやろう。チューブは
かなりひからびてて長いこと使ってないのがわかるが持ってたのはラッキーだ。
さて、今度は慎重に階段を降りて道路にでる。壊れた傘をさして朝市を廻って
粥を食いに行くのだ。

昨日の粥屋さんは雨でもやっていた。屋根があるから問題ないのだ。
おばちゃんはわしの事を覚えてくれたたようだ。
にっこりわらってそこへ座れと言う。

また、油条(揚げパン)を少し食べながら待っていると熱々がやってきた。
「ん?、卵入ってるやんか」、サービスしてくれたんか、昨日入れ忘れたんか、
今日は卵が入ってる。卵入りのお粥は大好きやからうれしい。

ぐるぐると半熟をかき混ぜて食べ始めた。
「ん?、味が変わってもた」、卵が入って味が丸くなって、胡椒などの尖った
味がどっかに行ってしまったのだ。それはそれでおいしいけど、あの尖った美
味しさの方が好きだ。もう明日の朝はここに来いへんけど、今度来た時は、卵
要らんって言うのを忘れんようにせなあかんのだ。


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