莫言、「蛙鳴」
この本すごい。読み応えありだ。分厚さもかなりのもんだが、内容も分厚い。
知らなかったが映画で有名になった、「紅いコーリャン」の作者だそうだ。
日中戦争の混乱期を逞しく生き抜いた人達。
戦争が終わって平和になったはずなのになかなか幸せにはなれない。
先日読んだ巨流河の世界を今度は中国の側から見つめている。
国共の戦いがあって、更に文化大革命だ。ここで標的になった人達はさらに
酷い目にあう。
そんな中を必死に、しかもずぶとく、したたかに生き抜いて見せる人々の話だ。
焦点は一人っ子政策。
誰でもわかる。これ以上人口が増え続けていったらどうなる?
何が起きる? 普通に想像すれば、避妊器具を配る、教育宣伝をして指導する。
法律で規制する。
しかしそんな事ではくじけない人達がいくらでもいる。
何と言っても子孫を残し一族の繁栄を願うのが至上命題なのだ。
そうなると、もっと凄まじい事が起きる。強制的な避妊手術だ。もっと酷いのは
強制的におろしてしまえという手術すらやってしまうのだ。
それでも地に潜み、野にかくれ、生んでしまえばこっちのもの。戸籍何かくそくらえ。
と開き直る人達もいる。
すごいなあ。どろどろの息吹がつたわってくる。
老舎の駱駝祥子が目の前に浮かんでくるような作品であった。
舞台は遼寧省のあたりから北京まで、想像できる土地柄やなあ。
面白い。一気に読んだ。これも映画になるんかなあ?おもろいやろなあ。
奥田英朗、「港町食堂」
旅をするなら、その街を海から攻めたらどうなるだろう。
そんな事を考えると旅にも又違った面白さがでてくるかもしれない。
直木賞作家がふらふらちゃらちゃらと美味しいモノを食べて、酒を飲んで巡る旅だ。
視点がゆるすぎるじゃないかと思わないでもないが、これはこれでいいのだろう。
軽い話も必要だし、軽い旅も必要なのだ。
それで行きたいところも浮かんでくる。
礼文島や釜山は行きたいなあ。
こんな感じでハバロフスクなってあったらいいなあ。
旅の話はいろんな形があっていい。
それでまたいろんな旅ができるのだ。
アジアの旅に又行こう。
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ありがとうございました。