伊坂幸太郎、「ホワイトラビット」
この人の推理小説は独特の伊坂ワールドがあってとても面白い。
強盗有り、殺人あり、他人を騙し陥れる悪者有り、などなど盛りだくさんでは
あっても何故か心温まったり、希望が湧いたりする気分になるときが結構ある。
決して、犯罪礼賛、暴力礼賛ではないんやけど、そういう空気を持った犯罪小説って
決して多くはないし、それがチャラいもんではない話も多くはないと思う。
そやからとても複雑な伏線が張り巡らされたストーリーの中にもすっと入って
いけるし、行き止まることなくどんどん進んでいける。これがやっぱり作家の
筆の力なんやろなあって感心する。
さて白兎事件の始まり始まり。
ある日突然、人質立てこもり事件が発生。夏之目課長が出動し犯人と交渉を始める。
犯人の要求が変わっている。オリオオリオという人物を探して連れて来いというのだ。
一方、空き巣に入ったはずやのになにかわけのわからん状況に巻き込まれそうに
なってるやつらもいる。
何か裏でつながったことが動いているようなのだ。
それはオリオン座の秘密を解くことでわかっていくのか? この世の出来事は
すべてこの星座の配置に支配されていると知っている人がいる。
あるいはレ・ミゼラブルを読むと人はどうなるのか?
最後はアルテミスの神話、アポロンとオリオンが誰かを救うのか?
奇々怪々? 複雑怪奇? 神出鬼没?
とにかく面白い。けどやっぱり悪いやつはやっつけたい。
門井慶喜、「新選組の料理人」
ある日、菅沼鉢四郎の住む長屋が火事にあった。京の大火、「どんどん焼け」に
みまわれたのだ。そのどさくさで嫁のおこうがいなくなった。
途方にくれた彼は薩摩や会津の炊き出しでその日暮らしの日々を送るうちに
ひょんなことから炊き出しの手伝いをする羽目に。
なぜか飯炊きの腕前が認められたようだ。
そしていつの間にか新選組の飯炊きに、更に料理人にと望むと望まざるとに関わらず
巻き込まれていく。
そして、彼を引き込んだ新選組幹部、原田左之助の後ろ盾で新選組の料理人として
動き始めた。
血気盛んな隊士たちだ。金もある。うまいもんを食わさんと命があぶない。
日々修羅場の中で、飯を食わせる仕事も中々大変だ。そのうえ飯炊きだけで収まって
いるわけにはいかなくなる。
身辺ではいろんなざわつきが発生。
さてどういう運命が展開するのか。
逃げた女房は見つかるのか?
新選組を出しておきながら、こういうふうにはぐらかしたかのような展開、
それでもチャラチャラ話に終わらない説得力もあって、なかなか面白い。
楽しめる本だ。
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ありがとうございました。