すごい映画だ。
食い入るように見てしまった。
ピアノの調律って音程を合わせるだけだと思っていた。つまり周波数を合わせるだけだ。
後は、ピアノの個性に随って音色が決まるのであって、それは良いピアノが良い音を出せる
というそれだけの世界だと思っていた。きっとそう思うのが普通のはずだ。
しかし、ここにあるのはそんなものとはかけ離れたプロフェッショナルの世界だ。
「うん、なかなかいいねえ。でもちょっと質問がある」
「もうちょっと明るさが欲しい」
「広がる感じ」
「抜けて行く感じ」
「硬すぎる」
「音が消えていくまでの時間が・・・」
「コントロールしやすさ」
いろんな要求が一杯でる。ピアノという楽器に個性があったとしても、まだまだその先に
調整できる、すべき可能性が沢山あるのだ。
その中から、演奏者が望む最高の音を、引き出すというよりは創りだす作業なのだ。
こんな感じ・・、あんな表情・・、様々な文章表現があったとしてもそれは共通の認識を
示す言葉であるのが驚きで、言葉の意味に対する説明や質問は一切ない。
そして、その言葉がプロフェッショナルの頭の中で、具体的に何をどう触って行くかの
作業に落とされていくのだ。
経験的に、あれとこれをやってみて聞いてもらいながら・・・なんて曖昧なことでは全く
無いようなのだ。
エンジニアの心で見ると、実にわくわくする見事な世界だ。
曲に合わせて、ピアノといえどもチェンバロの感じを出す。オルガンの感じを出す。
会場に合わせて、反響板まで付ける。
プロフェッショナルの追求には限りがない。
しかし、遊び心もあって、かっこいいね。
息つく暇も無い楽しい映画だった。
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ありがとうございました。