ちょっと前に、張愛玲の小説の事をこのブログに書いたら、コメントを頂いて、この本の事を
紹介していただいた。こういう事でどんどんと世界が広がっていくのが楽しいし、ありがたい。
池上貞子、「張愛玲、愛と生と文学」
張愛玲の文章って、かなり気になっていた。名文、あるいはすばらしい文学という感覚のもの
とは思わないが、何故か気になる。
時には、どきっとするような言葉使いや、これはすごいなと思う表現が出て来る。
それに、これって紅楼夢やんと思う空気がよく流れる。
時には作為に満ちたと思える表現が続く。
鋭く美しいがえらく屈折しているようでもあるのだ。
ということはえらく魅力的だということになる。
それは何故か。
この本を読むとよくわかる。
祖父は清末の官僚、祖母は名将、李鴻章の娘と言う良家の家柄に生まれているが、
父母の離婚、父親との不和、日中戦争から革命へと続く動乱の中で、彼女の小説を読むような
屈折した人生を歩んでいるのだ。日本とのかかわりも深いと言う。
紅楼夢に関しての著作もあると言う。
そんな中で殆どブレることなく独特な生き様を貫いた人だった。
多分、魅力的ではあるがすごく付き合いづらい人だったんやろね。
「伝奇」と言う本、一度中国語で読んで見たい。
無理かもしれんけどね。
山田洋次、「映画館(こや)がはねて」
これもある人に勧められて読んだエッセイだ。
題をはっきり聞かなかったので、そのものかどうかはよくわからない。まあ大体似たようなものだろう。
山田洋次監督が満州出身だとはしらなかった。小学生の頃から家族で満州に暮らして中学生で敗戦、
引き上げとなったのだそうだ。
大連、瀋陽、新京、ハルピン、どれも行ったことがある。
描かれた風景と重なって懐かしくなる。
文の中から、人を見る目の優しさが立ち上がってくる。
深淵を見た人は優しい目になるのだ。
そうなると、あんまりちゃんと見た事がない「寅さん」一回見とかんとあかんなあという気になった。
適当にうわべだけで偏見を持ってはいかんのだ。
といいながらもちょっと、いやかなり心配ではある。
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ありがとうございました。