北方謙三、「水滸伝 十九 旌旗の章」
とうとう最終回です。
歴史の流れは変えられない。
道貫の軍は強い。いかに梁山泊の豪傑にしてもなすすべがない。
一人、又一人と斃れていく。
しかし、志をついでいくものたちも必要だ。
宋江が梁山泊と共にいよいよ最後の時を迎える。
止めをさすのは、若き楊令だ。
刀は父の遺品、吹毛剣。
楊令よ「替天行道」の旗と志を引き継げ。
というお話でした。
あっという間の19巻でした。痛快な物語でした。
ポール・オースター、「シティ・オブ・グラス」
ニューヨーク3部作の最後の作品。
不思議な小説です。
ずーと推理小説のような気分で読んでいました。
推理小説の分野に位置づけられても不思議ではないような作品です。
でも、心理小説だと思います。
事件はなくて、ひたすら追う者と追われる者との話が続く。
結局
「・・・・スティルマンはもういなかった。老人は町の一部になってしまった。
彼は小さな点あり、句読点であり、果てしなく続くレンガ壁の一枚だった。
クィンが死ぬまで町を歩きつづけたとしても、彼を見つけることはできないだろう。
すべては偶然のチャンス、悪夢のような数字と確率の問題になってしまった。
何の手がかりもとっかかりもなく、打つべき手がなかった。・・・・・」
すばらしい捜索と追跡のストーリー、
でも、目的と終わりがない。
私は何故いるのか、あいつは何故いるのか。
私は何故追うのか、あつつは何故追われるのか。
存在とは何か。
深い深い問題です。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。