去年の夏に中国の人達を連れて妙心寺の東林院に宿泊した話をしたことがある。
大本山妙心寺の中にあって、ひっそり、こじんまりした宿坊で、庭も風雅な風情があって
とても良い感じだった。
その時に、6月には庭の沙羅双樹の木に花が咲くので、「沙羅の花を愛でる会」というのが
ありますよと聞いていた。
その時に、「是非行きたい」と思っていたのだ。
待つことほぼ1年、6月がやってきた。
問い合わせの電話をすると、
「15日からやっているのでいつでもどうぞ」
「料理の予約はいりません」という事だった。
前回のように妙心寺横の細い道を抜けて直接東林院まで行こうとすると、
「だめだめ」と呼びとめられた。通りの大駐車場に置かないといけないらしい。
「シーズン中は客が多いんやな」行く人も多いし、帰ってくる人ともすれ違う。
「沙羅双樹の寺」と書いた玄関先もざわついている。
入るとすぐに名前を呼ばれて、抹茶の席に案内された。
特に茶を飲みたいわけではないがセットもんやからしょうがない。
お庭の前のひろい部屋一杯に人が散らばっていて、沙羅双樹の花を写真に撮る人、
座って休んでる人、沙羅双樹の花の説明を聞く人・・これもセットかな?
料理の順番を待っている人。
お釈迦さまが亡くなられた時に一斉に花開いたというインドの沙羅双樹を持って来た
わけではなくて、命には必ず限りがあるということを教える為に、朝咲いたら夕方には
ぽたりと花を落とす椿系の花を沙羅双樹の花と名付けて鑑賞するようになったのだそうだ。
順番がきた。
奥の間に通される。去年の夏、宿泊した部屋だ。なつかしい。
お庭を見ながら食事ができる。
すばらしい。
料理が運ばれてきた。
「たくさんあるなあ」一つの御膳には載せきれないほどだ。
「おいしい」とてもおいしい。どれも丁寧に造ったことがよくわかる味だ。
精進料理だが、しっかりボリューム感もある。
素材の味を生かしながらもきちんと味付けがされている。
濃厚でもある。
沙羅双樹の花はじゃがいもで造ったのだそうだ。
「どれもおいしい」十分お腹いっぱいになってしまった。
お汁がちょっとばかり煮詰まり加減なのは客が多すぎるせいなんやろなあ。
これもご愛敬。
つぎはお正月にお粥を食べにこないといけない。
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ありがとうございました。