トゥドック帝廟
ワゴン車でたった一人の客、メコン河ツアーと違って贅沢すぎる。
フエの街は、旧市街と新市街に分かれる。旧市街は午後に行く、グエン王朝の
宮殿があったところだ。今は殆どの人が新市街に暮らしている。その新市街
から更に西南の方に、歴代の皇帝の霊廟が集まっているようだ。
旧市街だけだと多分歩いていけるが、この帝廟までは遠いので歩いていけない。
だからツアーを使う事にしたのだ。お仕着せツアーだから、お土産や見学も
もれなくついている。しかも伝統工芸見学というお題目だ。菅笠作り、お香
作りというが、結局はお土産販売だ。どうせ時間に余裕があるし、一人だけの
贅沢ツアーだから、そんなのがあっても全然かまわない。
車は市街地をすぐに外れて、田園の中を縫うように走って行く。小高い丘が
あり、遠くには山が見える。緑濃い山村だ。今の時期に水田を見ると違和感を
感じるが、南国ベトナムではあたりまえなのだろう。
トゥドック帝廟という処に着いた。
ドアを降りようとすると運転手がドアを開けてくれる。入場チケットはガイド
が買いに行ってくれる。「えらい贅沢やなあ。いつもとは大違いや」
グエン朝というのは、在位期間の短い帝が多い。骨肉の争いを繰り返して
いたのだろう。
中でも一番長いのがこのトゥドック帝で、在位中から造られて、庭園として
使っていたと言う。
「まるで中国やなあ」
北京や蘇州や中国の古都の庭園を見るかのようだ。
池をめぐらし、要所、要所に東屋を建て、それぞれの東屋がテーマ館のように
なっていて扁額や詩が掲げられている。勿論漢字だ。
庭全体に巧みに結構な石や木、花が配置されていて詩情をつくりだしている。
つまり中国文化の支配下にあった事を色濃く残しているわけだ。
中国調が洗練されて美しいと言っているようなのだ。
それにしても広くて大きい。