朝飯を食って元気をだそう
降りる時もう一つ心配があった。
フエ駅に迎えが来ているかどうかだ。時間を有効活用するために、朝フエについたら
そのまま一日観光に行けるよう日本で手配してあった。頼んだ旅行会社の都合で
不本意だが日本語ツアーしかない。駅からホテルに行って、それからツアーに
参加するのは結構面倒なので、駅のピックアップも頼んであった。準備万端の
つもりだったが、列車が大幅に遅れたら、全てキャンセルだと言われていた。
1時間が大幅かどうかは悩ましいところだ。日本では大幅に近いが、ベトナムでは
どうだろう。「まあ大丈夫だろう」と勝手に思っている。
勿論プラットフォームはなくて、スーツケースを抱えてむき出しの線路側に降りる。
駅舎まで歩いて行く。出口は一か所だ。降りる人はかなり多い。旅行者が多いようだ。
出口が狭いので込み合っている通路を通り抜けると出迎えの人達のプラカードが
見えた。私の名前を見つけて手で合図をする。
手で合図をし合うのがベトナムの習慣みたいだ。道端で立っているシクロの運転手や
バイクタクシーの運転手も盛んに手を揚げてくる。こちらも手をあげると商談が
始まると言う訳だ。
「先にホテルでチェックインしましょう」
どうやらツアー客は私一人らしい。最小催行人数は二人だから一人だったら2倍
払わされる。二人以上になったら一人分返すという事だったが、予想通り、一人
だった。「まあ、気楽でいいか」
ホテルは駅からすぐだった。知っていればピックアップサービスなんか必要なかった
のだが、仕方がない。折角だから、さっとシャワーを浴びた。
「気持ち良い」
「お腹空いてますか?」
「空いてる。簡単なモノでええよ」
連れて行かれたのが、道端にあるフォーの店だ。
こんな店大好きだ。モツのフォーが出て来た。あつあつで元気がでる。
モツも殆ど癖がない。何故かフランスパンも出て来た。
粽のような皮に包んだのは、魚のすり身のようだ。
さすがに腹が減っていたので美味しい。