カイディン帝廟
沢山歩いたので疲れて来たというかかなり食傷してきた。
中国趣味ではあるが中国ではない。何か真似の匂いがあって本物ではないのだ。
自国の文化として消化してないのだ。
対聯や扁額も出典や押韻がちゃんとしてるのか心配だ。よけいなお世話やけど。
やっと終わって又車に乗る。
もう少し山が多くなってきた。更に緑が濃くなっている。
畑では牛が働いている。
道も大分狭くなってきたが観光用にきちんと舗装はされている。
ちょっと小雨がパラついてきた。この旅に傘はきちんと持ってきたが、
チェックインしてシャワーを浴びて、あわてて出て来たので、スーツケース
の中に忘れて来た。しかし、ヤッケをきているから少々の雨は大丈夫だろう。
カイディン帝廟についた。
正面に数十メートルはあろうか幅の広い多階段がある。その先もかなり
高い。階段の上には大きな門があって、ちょっとした撮影ポイントだ。
しかし、ベトナム人の役人らしい制服を着たおじさん二人がずっと
お喋りをしていて一番じゃまになるポイントをどこうとしない。
「なんぎやなあ」
まあ、撮影に執着してるわけやないからええけどね。
帝廟の構造は大まかにはきまりがあるようだ。
中央の建物の手前には兵士や文官の像があってあの世の王国をつくっている
のだろう。ずいぶん背が低かったんやなあ。
両側には塔があって廟を守っている。
そして必ず真ん中の通路を塞いで、衝立が設置されている。
帝が眠る廟内に悪霊が入るのを防ぐと説明しているが、実は、死んだ帝が
悪霊になって出て来るのを防いでいるのだろうと思う。
中に入って驚いた。実に豪華絢爛だ。フランス占領時代に建てられたというから、
フランスの後押しがあったのだろう。
建物の装飾から調度品まですべて外国からきた高価な工芸品だ。
自分の像もキンキンだ。
見ていて腹が立ってきた。外国の後ろ盾で人民を支配するだけで、何の文化も
育てていないじゃないか。外から持ってきたお宝で満足してるなんて、
最低の支配者だ。
「こういう皇帝を持ったんがベトナムの不幸やね」と後でベトナム人の友人に
言ったものだ。