ぼちぼち、又、赤い皮表紙のノートを戻ってみます。
5月に行ったベトナムの記録です。蘭奢待
ホーチミンのタンソニェット空港につきました。
やっぱり、いつも暑さが体にまといつきます。
今回は、黒檀などの古家具を探す予定だったので、空港近くの家具屋を回ってました。
その時、看板に沈香とかいう文字が見えたので、あわてて車を止めました。
中国系の店のようです。
ベトナムは、沈香の産地としては有名ですが、実際に街で売られている事はほとんどありません。ホーチミンで有名なマジェスティックホテルでみやげ物として売られていたり、ダナンの旧都ホイアンの土産物店で1軒だけ見かけた事があるだけでしたので、このような専門店があるのは驚きでした。
店内で、いろいろ見せてもらいました。
驚く程、高密度で香りも強いものから、廉価なものまで、非常に沢山の量と種類がありました。
安く買えるとはいえ、高価なものなので、買える範囲のものを購入しました。
沈香といえば、ある種の木が分泌した樹液が特殊な状況下で固まったもので、独特の芳香をだすということものです。
奈良、正倉院の蘭奢待などが有名です。蘭麝待は勿論、国宝で足利義政と織田信長が切り取ったことがあるだけとか言われている伝説の香木です。
勿論、燃やすと、とてもいい香りを出すのですが、高価なものを簡単に燃やしてしまうのはもったいないので香道の勉強をしてみました。
図のように、香炉の灰の中に、専用の小さな炭に火をつけて埋め込み、上に向かって、細い煙道を作ります。
その上に、薄い金属プレートを敷いて、そこに、沈香のチップをのせます。
しばらくすると、そのチップが燻されて、なんともいえない良い香りがたちこめます。
日本では、仏具店などで、こういうセットが売っているので、見よう見まねでやってみました。
とても複雑で、奥深い香りです。
最近思うことですが、ベトナムに行き始めて、かえって日本の文化に触れたり、考えたりする事が多くなった気がします。