ハイヴァン峠へ
ダナンは大きい街だからか乗る人も多い。朝まだ暗いというのに見送り
の人達も沢山きている。
見送られる方も通路の窓ガラスを開けてがやがやと喋り合っている。
自分達のコンパートメントの前は不便なのか、我々のコンパートメント
の通路のところに集まって、見送り人達と喋っているのだ。
それで、列車が出発したら、さっさと部屋に戻ってしまった。
「おいおい窓を閉めていけや」と思うが知らん顔だ。そのあと乗務員が
通ったらしめるだろうと思っていたが、彼女達も何もしない。だんだん
寒くなってきたじゃないか。しかたないのでベッドから起きだして閉めに
行った。最初はゆるかった冷房もだんだん効いてきたし、ベトナムの
北部に向かっているから気温も下がっているのだ。多分そうだろうと
思って、冬用の服を持ってきたのが正解だ。ホーチミンでは33度もあって
半そで短パンで十分だったが、セーターとヤッケが必要だ。
何だかおかしい事に気がついた。列車の走る方向が反対だ。
通路が海側、窓が山側というのは変わらないが、先頭が逆なのだ。
ということはダナンの駅でキックバックみたいなやりかたで、先頭の
機関車をつけかえて向きが反対になったのだろう。
景色が向こうからくるから景色をみるのに都合がいい。
しかし、海側の方が景色がいいので、通路に出て見た。
列車は峠道にさしかかっている。夜明けで明るくなってきていると
同時に海の視界も広がってきた。
「もしかしたらここがハイヴァン峠かもしれん」と気がついた。
列車がこの有名な峠を通る事は知っていたが、まさかこういう夜明けの
絶好のタイミングで通るとは思っていなかった。
カメラを持って通路に貼りつかないといけないかな?