ニャチャンからダナンへ
「ニャチャンには行った事ある?」、「いや無いです」
「絶対に行った方がいいよ。ものすごく綺麗なところですよ」
「海岸のリゾート地なんです」
そう言われていたニャチャンらしき町が見えている。しばらく前から美しい
海岸線を走っている。
夕焼けが綺麗だ。
「こういうところなら一度来てみたいな」と思わせる。静かな海辺の町だ。
彼らがニャチャンについて喋る時は実に楽しく懐かしそうだ。
目が遠くを見ている。きっと良い思い出があるのだろう。
乗務員はどうやら、降りた人のベッドを整えないといけないから、
「早く降りろ」とせかしているようだ。そのわりには、シーツと毛布を
手早くたたみなおすだけだから1分もかからない。
ニャチャンに着いたと言っても、英語の放送があるわけではないし、
駅に標識があるわけでもない。
「これではフエに着いた時もわからへんかも知れん」と心配になって、
「フエについたら教えてくれって頼んで」と彼らに乗務員に言ってもらった。
「うんうんok」とうなずいたが、本当に通じたのやら不安ではある。
上の商人風の人もここで降りたから一人になってしまった。
大きい町らしく沢山の人がおりていく。
「ここからは気楽に一人旅かな」って思っていたら。年配の女性が向かいの
下段に、ビジネスマン風の男性二人連れがそれぞれ上の段に乗ってきた。
やっぱり満員だ。この列車はいつも満員なのかもしれない。
薄暗い中、ダナンに向かって出発だ。
この分ではダナンは夜明け頃になるだろう。