文楽に思う

文楽はいいですね。
カーン、カーンと拍子木が鳴って、「とざーーい、とうざーーい」と黒子が始めると、一気に、緊張が高まり、集中していきます。
語りの太夫が、ここぞというところで、心をこめて、謳いあげる時は、ついつい、感極まって泣いてしまいます。
ああいう、感情移入は独特のものですね。
結構難しい、言葉遣いなので、しっくり分かっているとは、言えないけれど、どんどん引き込まれていくのが不思議です。
人形ですから、表現できる事は限られてます。
そういう中で、顔のかしげかたや、ちょっとした動き、手足の添え方など、本当に微妙な動きで、見事に表現していきます。
外国にも人形劇は沢山あって、それはそれで、芸術の域なんでしょうが、ここまで、昇華すると本当にすごいものだと思います。

私は、特に心中ものが好きです。
自殺を賛美するものではありませんが、
死にを決意するに到る過程で、どうにもならない物事を背負い込んで悩みに悩む場面や、決意の上の、死出の道行きの場面など、太夫達の至芸が見られていると思っています。

それにしても、下手な画です。
でも、この曽根崎心中の死出の道行きの謡には、特別悲しい思い出があります。
その事は又、いつか機会があれば・・

sonezaki061105