映画、「涙するまで、生きる」を見た

すばらしい映画だと思う。
アルジェリアの山の中だ。寒い風がびゅうびゅうと吹きすさぶ谷の狭間の小さ
な丘の上に学校がある。アルジェリアの元フランス軍少佐だったダリューが今
は民間の教師としてここに暮らしている。日々の暮らしは厳しい。子ども達の
暮らしも厳しい。人里離れた学校で殆ど修行僧のようにして暮らしているが、
その暮らしにはある種の満足を感じていた。
しかし、アルジェリア独立運動の戦いが激しくなり毎日の暮らしも危うくなっ
てきた。そんなある日、馬に乗った憲兵が一人のアラブ人を引きずってやって
くる。
どこまで行く? ここだ。
ここに泊まるのか? こいつだけ泊めてくれ。
明日おまえがこいつをタンギーまで連れていくのだ。
なんで? これは命令だ。
いやだ。私は行かない。
私は命令でここまできた。これからやつをどうするかはおまえの問題だ。
ここから不条理が始まる。
この映画はカミユの原作が元になっている。「追放と王国」と言う短編集の中
にある「客」という短編だ。
短い作品なんで映画を見る前に読んでおいた。
普通、原作より映画の方が越えているということはめったにない。それ程文章
の力がすごいということなのだ。
この場合も細かい部分の描写においてはそういう感じを受ける。
但し、この映画はカミユの「客」とは似てるようで違うものだと思う。カミユ
のテイストを残してはいるけど、又違った素晴らしい作品になっていると思う。
話の筋書きは同じ部分もあれば違う部分もある。
どう同じでどう違うかは問題ではない。
映画を見る内にこの作品としてぐんぐん惹き付けられて行く。
結局、ダリューとアラブの囚人モハメドの旅が始まった。

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苦難の旅だ。
おまえの存在は何なのだ?
生きる意味は何なのだ?
この世は哀しみと不条理に満ちているのではないか?
アルジェの戦いの真実は?
映画のことは素人なんでようわからへんけど、ダリューのモハメドの演技と存
在感がすごいなあって思う。
初めは偏屈な田舎教師みたいやったダリューがその背負ったものの深淵が徐々
に明らかになっていくにつれてかっこよくなってくる。
モハメドもそうだ。しがないアラブの貧しい農民がふてくされてるだけのよう
に見えた男が旅を続けるうちに存在感がどんどん増してきていいやつに思えて
くる。芸の力なんやろね。
それと、画面がとても美しい。
どこまでも荒涼とした砂漠と岩山と雨と嵐がとても美しい映像になっていると
思った。
是非、劇場でご覧あれ。

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ありがとうございました。