先週1週間ほどで読んだ本を紹介します。
岡本太郎 「青春ピカソ」
岡本太郎という人は、万博広場の「太陽の塔」で初めて知りました。
その時は単に、ピカソににた大胆な発想の芸術家というイメージだけでした。
その後、いろんな作品を見る機会があり、ピカソに沢山は影響されているものの独自の発想ですばらしく印象的な芸術を創る人だと思っていました。
この本を見ていると、やはり彼は、ピカソの大の信奉者だったという事がわかります。
ただ、それは、単にピカソを模倣したり、流儀を学ぶという事ではなくて、破壊者としてのピカソを熱烈に尊敬していたという事です。
破壊しなければ、創造は無いというピカソの生き方がまさに彼の心に大きな衝撃を与えたという事です。
ピカソが生涯を通して、どのように破壊する人であったのか、
既成概念だけでなく、自らをもどのように破壊する人であったのか、
そして破壊することで、どのように何を創造してきたのかを、この本は熱く語っています。
そして、やはり、岡本太郎という人は、やはり、自らも破壊し、創造しつづけた人だったのだと改めて感じた本でした。
読んでいて熱くなる本です。
岡潔 「春宵十話」
最近、藤原正彦の「国家の品格」という本がベストセラーになっています。
この「春宵十話」は、もう何十年も前、私の確か高校時代に新聞に連載され、その後、単行本になり買って読んだ記憶があります。
「国家の品格」を読んでいる時、どうしてもこの本が気になり、昔の本を探したのですがなかなか見つかりません。
ところが、ふと立ち寄った書店で復刻の文庫本がでていたので、あわてて購入しました。
この中でも、同じように、人の感性や能力がどのように育つのか、又、育たねばならないのか、
それゆえ、人格の形成や教育のありようが如何に重要なのか、
個人においても、社会においてもそれは同じく非常に重要な事であって、
今の、教育や社会の仕組みがそれを大きく阻害しているという事を独特の視点で鋭く指摘しています。
この本の中で、特に印象的だったのは、数学者(天才の事でしょうが)が何日も何ヶ月も考えに考え抜いている時に、ある瞬間、ぼんやりしている時に、ふと全てが分かる時がある。
それは、疑問の余地無くわかったという事であって、間違っているかどうかなど、なんの疑う余地もない分かり方であるといった記述がありました。
天才の理解はまさにそうなんだと思いました。
これは、もしかしたら、禅の公案を解く行為と同じなんでしょうか。
そうだとしたら凄いですね。
わかるときは、何の疑いもなく細部まで全て分かり、後は書くだけだと言う事です。
岡潔については、郷里の和歌山に縁の深い人なので聞いた事があるのですが、
頭に響くからといって、いつも、どんな服装のときでもゴム長靴を履いて歩いていたそうです。
又、本の中に子供の顔に興味を抱いた話がありますが、田舎の中学校に講演に来ても、ろくに話もしないで、一人一人の子供の顔をずーと、見て歩いていたそうです。
**これからは毎週火曜にはできるだけ本の話をしたいと思います。