高橋克彦、「火怨 北の耀星アテルイ 上、下」
先日この作家の「東北・蝦夷の魂」と言う本を読んでこれを是非読みたくなっ
たのだ。この本を読んでいて、前に見た台湾映画、「セデック・パレ」を思い
だした。圧倒的な日本軍の近代兵器に対して、原住民達は住み慣れた山に籠も
ってゲリラ戦を繰り返す。彼らはとても強い。局地戦では何度も勝利するが戦
力の差はいかんともし難い。次第に追い詰められていく。しかし、戦う男達は
勿論女や子供も屈することはない。彼らを支えているのは民族の誇り、尊厳だ。
それは何人も奪うことはできない。
奈良朝の終わり頃から平安朝にかけて何度も東北遠征が行われた。大仏の建立
や都の造営に夥しい金が必要だ。その頃東北で金が獲れるとわかった。なんと
してもそれを安定的にわがものとしなければいけない。だから邪魔な蝦夷を征
伐するという都合のよい論理だ。
しかし、故郷を蹂躙される蝦夷たちはいつか結束するようになる。
そうなると強い。
朝廷からの遠征軍は何度も何度も撃破される。
朝廷の面目はまるつぶれだ。
最初は3万の軍、次は5万の軍、その次は10万の軍と年々新たな軍を増援し
て攻めてくる。狙いがあるかぎり諦めることはない。
多勢に無勢いつかは負けないといけない。
どう負けるか、アテルイとモレは策を練る。
最強の敵がやってきた坂上田村麻呂だ。後をこの男に託して降伏しよう。
この作者の蝦夷に対する思い入れがすごい。こういうすごい思い入れがなけれ
ば、個々の蝦夷たちがこんな風に鮮やかに生きて戦って死んでいく様を描く事
はできなかったと思う。
今年の2月に東北旅行に行く前にこういう話を読んでいればよかった。
もっと違った目で東北を見ることができたと思う。
いや、と言うよりは又、行けばいいではないか。アテルイや蝦夷たち、彼らに
連なる人たちが東北でどういう足跡を残したのか、触れに行く機会を作りたい。
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ありがとうございました。
