最近夢中で読んだ本、岩井志麻子、遠藤周作

  • 2007年3月27日
  • 3人
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岩井志麻子 「偽偽満州」
対戦前の混乱の時代です。岡山の娼婦がピストル強盗に惚れた挙句、二人の逃避行はなんと大連でした。
日本の満州国建国の騒ぎ、人と流れにまぎれながら、奉天、ハルピン、新京と流れていきます。
男を追う女のやるせなさや、開き直った凄まじい強さをリズムよく描いています。
舞台も、面白いし、中国のなんでもありの底知れなさも垣間見えてついつい夢中で読んでしまいました。
それにしても、女性の側からの做愛の表現。
凄いですね。
なるほど!そう思えばよかったんですか。

勉強になります。!!

遠藤周作 「忘れがたい場所がある」
旅をするのに、名所旧跡や有名な故事のあとを辿るのではなくて、もう跡形も殆ど消えてしまって風景のなかに溶け込んでしまった場所で、ある時、その場所で、何かを背負って死んで行った人、希望に満ちてその場所に臨んでいた人。もう歴史の中に埋没していても、何かの記録から、気になる人の生き様を見つけて、そこに佇んでみるというのは、それは、本当に心に残る良い旅と言えるでしょう。
作者の日本での切支丹の運命へのこだわりがこういう旅の紹介に現れています。
関心のあるポイントは違っても、こういう旅はしたいものです。
心に残る本です。

hon070327

毎週火曜は最近読んだ本の話です。