津本陽 「小説 渋沢栄一」 上、下
久しぶりに、好い生き様に触れる事ができました。感動です。
渋沢栄一、すさまじい人生ですね。
明治維新、外国に侵略されずに新しい国を立ち上げないといけない。
そういう危機感の中で、国家として必要な、殆どの事業を立ち上げた人なんですね。
人々に必要とされる事業であって、それが国の発展のためになる、それに心底打ち込めるのあれば、どんな困難があってもやりとげるという事を、実に多くの事業を立ち上げながらやりとげて来た人です。
それも、個人や国家の資金で独占的にやるのではなくて、合本として投資家を募ってやるという、近代的な事業のありかたすら切り開いたのです。
それでいて、自らの富貴には殆ど関心がない人だったようです。
幕末、年少期は尊王攘夷の志士だったのに、数奇な変転で、一ツ橋家の家来となり、パリ遊学の付け人になる暮らしの中で、西欧文明の凄さ、恐ろしさを学び、一転、西欧文明を日本で立ち上げる志士になってしまったのでした。
こういう人達が、日本を作って来たんですね。
改めて感動です。
津本陽さんの人物小説は、生き生きとその人をよみがえらせるようで読んでいてとても面白いです。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。