沢木耕太郎の「イルカと墜落」という本を読んだ話をしたと思う。
アマゾンの奥の方をボートで遡って行く話だった。
その話の中で、鬱蒼とした密林に囲まれて、物音も殆どない世界で、静かに河を
遡っているこの感じは、どこかで見た事があるという話になった。
それが、映画、「地獄の黙示録」という事だった。
この「地獄の黙示録」という映画は、ベトナム戦争を舞台にした映画で、メコン河を
奥へ奥へと遡って行くシーンがあるというのだ。その感覚と似ていると言う。
もう30年程前の映画だが、話題になったことだけ覚えている。
ワグナーの「ワルキューレの騎行」をバックに軍用ヘリコプターの群れが飛んでくる
場面が繰り返し宣伝されていた。しかし、見ていなかった。
メコン河というとホーチミンから近いはずだ。
何度か行ったホーチミンが懐かしい。
それなら見てみよう。
「イルカと墜落」の中では、この映画、最初はいいが、後半は中途半端だというように
書かれていた。
確かに、メコンを遡るシーンはなかなか面白い。薄暗いジャングルの中を、だんだん
狂気の世界に近づいていくという気分が良く出ている。
それに、カーツに対するある種の共感さえ起きて来る。
しかし、最後の方は、黙示録をイメージしているのかもしれないが、おどろおどろしい
だけで何の事はよくわからない。
メコンと言っても撮影はフィリピンだったそうだし、ワルキューレのでるシーンは
サーフィン聞違いの司令官だとか、メコンの奥で美人のフランス人とナニするとか
話題作にしては、ようわからん映画でもあった。
しかし、この映画でメコンに行きたくなった事は確かだ。
今度ホーチミンに行ったら、こんな奥地までの冒険はできないにしても、
河とジャングルの雰囲気を見て来る事にしよう。
毎週、木曜は映画、音楽、書画に関する話です。