沢木耕太郎、「イルカと墜落」
やっぱりこの人の旅の話は面白い。
今回はブラジルが舞台になっている。
リオ・デ・ジャネイロやサンパウロを起点にして、アマゾンの奥地に行く旅だ。
途中にマナウスというところがある。懐かしい名前だ。それで地図を見ていたら
えいら奥地にある。私は行かなかったが、現役時代、仕事の同僚が行っていた事がある。
こんな奥地で苦労していたんだなあと思った。
話は更に奥地、コロンビアやボリビア、ペルーなどが国境接する最上流のあたりだ。
このあたりに住む原住部族の人達とコンタクトしている人がいて、その人を取材する
旅と言う事だ。
あまりにも外界と接触しないで来た人達だから、一旦、安易に外界と接触してしまうと
簡単に部族全体が滅びてしまうそうだ。
だから、できるだけ外界と接触しないでそっとしておけるよう、いろんな国際的な
組織に働きかけて護っている人達がいる。そのリーダから話を聞こうというのだ。
ピンクのイルカと一緒にアマゾンを遡航する話。
現地に向かうセスナがあろうことか墜落して九死に一生を得る話。
わくわくする。
しかし、アマゾンでも、チベットでも、西アジアでも、少数民族は厳しい目にあっている。
文明に呑み込まれて同化していくのが正しいとは限らない。
日本のアイヌもそうじゃないか。
平野久美子、「中国茶 風雅の裏側」
中国によく旅行に行って思う事がある。
確かに物価は安い。最近はだんだんモノが高くなってきたけれど、それでも日本よりは
割安感がある。
特に紙や筆、墨、硯など文房四宝などはそうだ。かなり値打ちのありそうなものでも
日本で買う時の感覚からすれば安く感じる。
しかし、骨董品と茶は高い。
骨董品は万国共通だからしかたないかもしれない。
しかし、茶は、安いのもあれば、信じられない程高いのもあって、何がなんだかわからない。
なぜだ。
それでこの本を読んだ。
わかってきたのは、やはり、作られたブランドイメージに踊らされているということだ。
武夷山の大紅袍や洞庭湖の君山銀針、杭州西湖の龍井茶などだ。
確かにおいしいけど、製法、茶葉、摘まれた時期などなどを厳選したということで
希少品となってしまい、昔からの高名な産地の茶がどんどん値が上がってしまうのだ。
そのまわりに偽物や紛いモノや似て非なるモノが一杯あって、消費者には本当はどれが
どれなのかよくわからない。よっぽど知識がないと騙されてしまいそうだ。
それに、普耳(プーアル)茶などは古ければ古いものほど良いということで、茶の味よりは
投機の対象になってしまった面もあるようだ。
何十万円、何百万円もかけて1餅の茶を買っておいて、値上がりを待ってもうけようという
話らしい。
安くても美味しい茶は多いのだから、自分で飲んでみていいなと思うものを納得して買うしかない。
それに、やっぱり知識が伴わないといけない。
難しい世界だ。
毎週、火曜は最近夢中で読んだ本の話です。