「おばあちゃんのごめんねリスト」
フレドリック・バックマン 著。
7歳の女の子にはスーパーヒーローがいていい。理屈抜きにそれに賛成しない人は、頭の中がバカにちがいない。
前にこの作家の「ブリット=マリーはここにいた」を読んで、他の作品を探したら行き当たったのがこの本である。
やっぱりとても面白い。
特に語り口が大好きだ。
ちょっと、醒めた、ちょっと皮肉で、ユーモアに溢れてて、とぼけて味がある。愛がある。
この本は、その前に出た本、順番が逆になるけど、全然問題ない。
ブリット=マリーも出てくるけど、だいぶ違い。それがまた面白い。
エルサは7歳で、あと少しで8歳になる。7歳をやるのがあんまり上手じゃないのは本人もわかっている。
おばあちゃんは77歳でもうすぐ78歳だ。おばあちゃんもその年齢をやるのがあまり上手じゃない。
おばあちゃんとエルサの物語。
血湧き、肉躍る、大活劇。
ミアマス エルサとおばあちゃんの秘密の王国
本当に価値のあるおとぎ話は全部ミアマスで生まれる。
眠りのふちの大地
ミレヴァスの王国は夢を守り、ミプロリスの王国はすべての悲しみを保管し、ミモヴァスの王国ではすべての音楽が、ミアウダツァスの王国ではすべての勇気が生まれ、ミバタロクの王国では終わりなき戦争で恐ろしい影と戦った勇敢な戦士たちが育てられた。
五つの王国
ウルフハート 終わりなき戦争で影を打ち負かしたスーパーヒーロー
おばあちゃんは嘘のことをこう呼ぶ。「真実のべつバージョン」と。
おばあちゃんのうち 建物は5階建て 9戸の家がはいっていて おばあちゃんの匂いがした(コーヒーの匂いも)
地下に共同洗濯室 ルールを書いた紙 常に壊れているエレベーター1基 敷地内の分別ゴミ置き場、酔っぱらいがひとりと、猛犬が一頭と、それに、おばあちゃんが1人いる。
1階はエントランスと集合室
2階にはなんとか症候群の子どもとお母さん。モンスター? と ウルス。
3階にはレナードとマウド、アルフ
4階にはブリット=マリーとケント、黒いスカートの女の人
5階にはおばあちゃん、エルサ ママ イェーオリ
この建物を中心に、事件が起こる。
大騒ぎが起こる。
そして、おばあちゃんとエルサ。
とても面白い。
そして、時には涙。
愛が溢れる物語。
ええですなあ。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
「虚空遍歴 上 下」
山本周五郎 著。
浄瑠璃に憑かれた男の生き様のその果てにあったものは。
巨匠の長編。
長年読みたかったやつ。
文楽、人形浄瑠璃が好きでたまに聴きにいったりする。
人形遣いもとてもええけど、太夫の語りがやっぱりすばらしい。
まったくの作り話、昔の言葉使い、今とは違った、非現実の世界とわかっていても、太夫の熱いかたりにいつの間にか引き込まれて、つい涙を流したりしてしまう。
芸の力ですなあ。
中藤忠也は武士の家庭で生まれたものの、常磐津語りや浄瑠璃の世界にのめりこんでいく。
その道ではだんだん評判がたち、名前が売れていってる。
もはや、師匠の下を出て、流派を立てるときではないか。
しかし、なにか釈然としない。
わしがもてはやされてるのは、いったいなぜなのか。
本当に芸の力なのか。
もしかしたら、誰かが影で金の力で・・・
いろんな人の駆け引き・・・ 思惑・・・ 物欲、私利私欲・・・
ただ、利用されてるだけとちゃうやろか。
思い詰めたらいてもたってもいられない。
体一つで勝負してみたい。
そうだ、大阪に行こう。
妻も、生まれそうな子も置いていこう。芸に命をかけよう。
しかし、ここでも同じ、芸の力だけでは所詮うまく行かんのか・・・
悩みは深まるばかり。
影のように、密かによりそう、おけい。
オトコとオンナの関係ではない。あくまでもココロの奥でつながってる。
さて、二人の運命は?
行きずりの旅の絵師。ここにも悩める男がいた。
中国の水墨画の名人、石濤の呪縛から抜けられない。
果たして彼の運命は? 彼が選んだ道は?
そして、忠也の行き着く先は? おけいは?
とても面白い。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ半。
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