最近読んだ本、「ミダック横町」、「無月の譜」。

  • 2023年4月20日
  • 16人

「ミダック横町」

ナギーブ・マフフーズ著

 
あじあん

カイロの下街にかってこんな風景があった。

貧しい人たちの吹き溜まりのような横町? 時代に取り残されてはいるが、昔ながらの人情と濃厚な人間関係が漂うミダック横町。

横町の朝は、喫茶店「キルシャ亭」から始まる。常連さんの憩いの場だ。

いつものメンバーが集まってくる。八つあん熊さんがやってくる。御隠居さんもくる。ヤブ医者も来る。社長もくる。なんか分からん先生もくる。坊さんもくる。おかみさんが怒鳴り込んでくる。

一目惚れ、片思いの恋に悩む純情な若者もくる。貧乏床屋に見向きもしない女がいる。自由奔放な女。

彼女を射止めるには? 若者の親友はキルシャの息子、ここを抜け出して英軍キャンプみたいなとこに入り込んで羽振りがいい。おまえも、頑張れば?・・・・

うまくいきそう?

強欲婆さんの大家がいる。家賃を値上げに来たのか? いや、なんだか結婚したいらしいぞ?

まさか? ほんまや?

絶倫の男がいる。

何を食ったらそうなるのか? しかし、その吐口は?

歯医者って? 金歯って? どこで? 何を?

夜中にどこへ?

アラブの横丁の人間模様。いったい何が?

社長は美女を手に入れるのか? 美女はこれで貧乏から抜け出せる?

しかし、許嫁は?

社長が倒れたその隙に、美女は女衒に目をつけられた。凄腕女衒?

事件は横丁から外へとつながる。

時代に取り残された横丁の外には、外国兵がひしめく、大都会がある。

たくましい女たち・・・

若者よ頑張れ・・・

夢破れたものたち・・・

すべてはアラーの思し召し?・・・・

ええなあ、こんな横丁、こんな茶店。

庶民の息遣いが聞こえるようだ。

妖しい匂いがたちこめる。

とても面白い。素晴らしくおもしろい。

 
あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星5つ。

無月の譜

松浦寿輝著

 
あじあん

その駒には魂が宿っている

将棋の駒の話。

木の素材の話。加工の話。文字の書体の話。彫の話。塗りの話。

多岐にわたる。奥が深い。それぞれん蘊蓄がある。

何もしらんかったけど、物語を追っていくうちに知らん間に物知りになってしまう。

もう忘れたけど。

小磯竜介は最後の対戦を迎えた。これに負けると奨励会年齢制限に引っかかってプロの道は断たれてしまう。

しかし、負けた。

失意の竜介は師匠に挨拶に。

その時、愛用の駒を頂いた。

それを機会に駒に興味を抱く。古来からの書体の魅力。彫りと塗りと盛り上げの文字の力。

そして、故郷に。

ずっと応援してくれてた人たちに挨拶に。そして不思議な話を聞く。

戦死した大叔父の数奇な人生。そして、駒師だったこと。

それを調べ始めると、大叔父の人生、恋愛と破綻、最後は駒師としての半生が浮かび上がってくる。

彼は出征にあたって、果たして、全ての駒を捨ててしまったのか?

畢生の作品が残されているのか?

もしかしたら、戦死したという南洋のどこかにそれが眠っているのか。

知りたい。

見たい。

亡くなった土地、シンガポールへ。

だんだんとロードムービーになってくる。

そこからマレーシアへ。まさか、金子光晴のパトウ・パハ?

とても面白い。

旅はどこまでも。

最後は一体どこ? アメリカ?

幻の駒に出会えたのか? 駒師が生涯かけて願ったものとは?

将棋の話かと思ったら、駒の話やった。

とても面白い。

 
あじあん

わしの勝手なおすすめ度

星三つ半。

あじあんじゃんくしょん
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