山崎豊子、「大地の子」
すばらしい作品でした。文庫本4冊、黄山への旅の中で一気に読んでしまいました。
文化大革命が中国の人々におとしたすさまじい影についてはいろんな形で知識として私の中に入ってきてはいます。
それに、仕事や遊びを通して知り合った中国の人の中にも、父や母達が酷い目にあったとか、家が落剥してしまったとか、人を信じられなくなったとかの話を聞いたこともあります。
本もそれなりに読みました。故なくして槍玉にあげられ死に追いやられた人、迫害され続けた人達が沢山登場します。
理不尽さの極みです。
文革が終わった後の改革開放の大躍進については、仕事では深センに関係があったので、深センの発展を目の当たりにする形で実感してきました。
「大地の子」が話題になった頃は、ベストセラーに飛びついて読むのが恥ずかしいので避けていましたが、最近、中国に思い入れがつのっていくにつれて、ここに描かれた世界を一度読んでおきたいと思うようになってきました。
残留孤児の問題、文革の落とした影、躍進の時代、そういう中を生き抜く庶民の目線を追ったもので、肉親の愛、親子の愛、それよりも強い愛があるのだと、その生き様を通して語ってくれているように思います。
日本人の生き方を通して、中国の事を知る。
そういう本であると思います。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。