R・D・ウイングフィールド、「クリスマスのフロスト」
もう10年以上たつでしょうか。
イギリスの田舎に仕事で行った事があります。
夜になると、経験したこともない、漆黒の闇がありました。
殆どの交差点がロータリー式で信号が殆どありません。
リタイアした老人ばかりの街でした。
この本を読んで、とたんにそのような英国の田舎が目に浮かびました。
そこで頑張るフロスト警部、どじで間抜けで、憎めない。
でも、結局は大活躍です。
推理小説としても実によく出来ています。
このシリーズ、きっと嵌ってしまうでしょう。
一気に読んで、読み終わるのが惜しいと思わせる本でした。
村上春樹、「アフターダーク」
カーティス・フラー「5スポット・アフターダーク」というJAZZの名曲があります。冒頭に異色のトロンボーンのソロから始まります。ものういようなけだるいようなイントロが夕暮れのニューヨークのジャズクラブのある街角を思い起こさせます。
舞台は都心の一角、トロンボーンを演奏する青年の登場で村上ワールドが始まります。
中国人、売春婦、眠らない街、会話が紡いでいく現実の世界。
眠ったまま目覚めない美貌の姉。姉の眠りが紡ぐ幻想の世界。
複雑にからまって時間が過ぎていきます。
さて、一夜あけたらどうなっているのでしょう。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。