南申坊 「李白の月」
怪奇小説の言えば、小泉八雲の「怪談」や泉鏡花の作品がやきついていて、なんとなく、暗く悲しいやるせなさをイメージしてしまいますが、中国の怪奇小説は、どことなくブラックユーモアを感じるところがありそうです。けったいな化け物がでてきたり、綺麗な美人が実は豚が化けたものだったり、難儀なおっさんが出てきたりします。こういう、怪奇の中のちょっと気になる世界を漫画チックに紹介した本です。とても楽しく読めます。
これを読んでいると、本物の中国の怪奇小説(志怪小説というそうです)を真剣に読んでみたくなりました。
「聊斎志異」でも読んでみようかな。
倉橋由美子 「大人のための怪奇掌篇」
倉橋由美子は「聖少女」、「パルタイ」等の時代から読んでいます。学生運動真っ最中の時代ですね。
乾いたインテリジェンスといった文体が何とも言えず魅力的でした。この本は、それに、ブラックでクールなエスプリが加わっています。吸血や人肉食の話、冥界との交流の話、なんともブラックな世界で、ぞくぞくします。
この人のいろろな本に出てきますが、冥界と漢詩の世界を行き来する感覚は、ちょっとした、読書の楽しみです。
時には、ブランデーでも飲んで、シニックになろう。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。