龍泉窯の水差、と蓋物

大阪にある東洋陶磁美術館にはよく行く。いいものを何回も見て目に焼き付けておいて
勉強しないといけないし、目の保養になる。
中でも青磁のコレクションはすごい。砧青磁とか「雨後天晴」と言われる微妙な色合い
の絶品が沢山ある。
以前に中国の洛陽に旅行に行った時に汝窯とか鈞窯といわれる官窯跡の近くを通った。
今でも似たような陶磁器を焼いているそうだが、其の時入った店にはろくなものが
なかった。残念だった。
宋の時代の青磁には龍泉窯というのもあって、こちらは民窯で浙江省で盛んだったそうだ。
それで、中国をあちこち旅をしている時に売っているところを見つけようと探していたが
なかなか出会えなかった。
先日、北京に行った時に、いつものように瑠璃廠を歩いて、水墨の紙を買ったり、書画の
本を探したりしていたら、青磁の焼き物を置いている店を見つけた。
中に入って、「龍泉窯のものか?」と聞くと、「そうだ」と言う。
骨董品ではなくて現代作品のようだ。私にはそれで十分だ。
値段もそれほど高くない。
ちょっと興奮気味にいろいろ見ていた。

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しかし、なかなか、「これぞ」というものがない。
「是非買って帰りたい」という気持ちが起こらないのだ。
よく思うが、中国人の美意識と日本人の美意識では微妙に違うところがあると感じる。
国宝級の骨董品は誰が見てもすばらしいが、生活器になると、生活習慣と関係してくる。
私の感覚が変わっているのかもしれないが、景徳鎮の磁器でもここのものでも
色や形、絵付けなどで微妙に違和感があるのも多いのだ。
それでも、今回気に行ったのは2点だ。
この水差しの透明感が美しい。
形も面白い。ユーモアがある。

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それにこの蓋物。色合いに味わいがある。
紋様も面白い。
練香などを保存しているわけではないから、蓋物は使い道が難しいが、印泥などを
入れておくことにしよう。

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今回は小物ばかりだったが、次回はもっと大きい物を見つけよう。
色合いはええんやけどね。

毎週月曜はこだわりのモノの話です。