初志貫徹（しょしかんてつ）。
むかしある時。
自動車免許取り立ての頃だ。若いですなあ。
学校の友達も皆とりたて。ならば、どっかへ行きたいなあという話になりがちだ。
わしらもその気になった。
しかも、学校には自動車部とかいうクラブがあって、部員でなくても所有の、たった１台？自動車を超低価格で貸してくれるというのだ。いくらかわすれたけど、安かった。
出発の時、クラブの上級生が、ポリタンに水を入れて行けと言って、ポリタンを渡してくれた。えっと思ったら、ラジエターの水が足りん時があるからなっ、としらっと言う。わしらにはわからんけどそんなもんかとあんまり気にせんと出発した。
１時間ほど走ったら、ボンネットから白煙があがりだした。開けてみるとラジエターが沸騰状態。このことかと思って冷えるのを待って水をいれる。
しかし、こんな状態でとても長距離は走れるはずがない。水を入れながらなんて、ええかげんにもほどがある。こんなの貸すか？ すぐに返しに行った。
さてどうしよう。
気分はすでに自動車旅行。しょうがない。お金を出し合ってレンタカーを借りよう。
時間はいくらでもある。
てなことで、こんどは無事出発。
北九州から長崎通って大分まで九州横断の旅だ。
途中に卒業した先輩の家をたずねる。連絡済みやからご馳走を作って待っていてくれた。
それにつけ込んで日ごろからええもん食ってないわしら4人はなんぼでも食う。
あっという間におひつが空に。お母さんは、そっと炊飯器でご飯を炊き直してはった。
すんません。
堪能したわしらは長崎へ。泊まるとこがない。
長崎大学の学生寮まで行って、一泊お願いする。
その当時は快く、1室用意してくれた。ええ時代でしたなあ。
見物しながら旅はつづく。
いまのわしらは観光よりは走るのが好き。交代でいくらでも走る。
行きくれて、とうとう耶馬溪まで。
車の中で寝る。めしは、コッヘルでお湯をわかしてインスタントラーメン。
下宿くらしとほぼ変わらへん。
それが、旅やととても楽しい。テンションあがる。
ひたすら車で走っただけ。
とてもええ旅でありました。
若いってええですなあ。
もう、はるか昔のことですなあ。
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