「ともぐい」
川﨑秋子 著
この男、果たして人間か。熊と猟師の死に物狂いの戦い。どちらが勝つのか。
最近、街に熊が出たという話が、よくニュースになってる。
わしが住む町、九度山町でも、最近、山間部の集落で熊が発見されたらしい。2頭の子供をつれた熊が監視カメラに映っていたそうだ。
恐ろしい。
冗談ではない。
それがもし、ヒグマであればとても凶暴だ。相対すれば、人間は戦うすべさえないという。
動物愛護、人間と動物との共存どころの話ではないのだ。
襲われて、無事にすめば、運がいいしか言えない、そう言う話なのだそうだ。
気候変動のせいか、山に食べ物が少なったくなったせいか、生態系が乱されたせいか、わしにはわからんけど、熊の暮らしがどんどん人に近くなってくるのであれば、とても恐ろしい。
これは、北海道の山の中で、ヒグマを追って暮らす猟師の話だ。
とても面白い。とても哀しい。
ワクワク、ドキドキ。どんどん読んでしまう。
山の向こうの村の漁師が、熊を追ってやってきた。
熊は冬には冬眠する。しかし、中には冬眠用の穴を持たない熊もいるらしい。そういう熊は、凶暴という。それを追ってやってきたのだ。
しかし、仕留め損ねて、逆に熊に狙われ、とうとう襲われて半殺しの目に遭わされた。
この山の猟師、熊爪にはえらい迷惑だ。やっかいものを連れてきてしまった。
いずれは、対決しなければこっちがやられる。
その前に、瀕死の猟師の応急てあて、腐る前に目玉を吸いださんとあかん。
おそろしい荒療治。
そして、白糠の町まで治療につれていく。
門矢商店の主人、井之上良輔が何かと助けてくれる。
しかし、裕福で繁盛してるこの店には何かザワザワしたものがある。
目が見えない陽子の視線が突き刺さる。
さて、それから・・・
山に戻った、熊爪と穴持たずの熊との死闘・・・
その後は・・・
山でしか生きられない・・・
あるいは、もう死に場を探すしかない男・・・
そして女・・・
業深み者たち・・・
とても面白い。
一気に読んでしまった。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ半。
「アジフライの正しい食べ方」
浅田次郎 著
アジフライの正しい食べ方は、醤油、ソース、タルタル、なにもなし?
マイレージの関係で飛行機の旅はJALに乗ることが多い。
国内線は、時間が少ないけど、国際線は結構長い。
暇やから、機内誌を読む。本も読むけど最初はこれだ。
特に興味があるわけでもないけど、暇やから隅々まで読んだりする。
「SKYWARD」というやつだ。
海外旅行の時に、海外の航空会社やと、機内誌は楽しみだ。
時々、その地の思いがけない、見知らぬ絶景の地が紹介されたりしてて、言葉はわからんものの、これは絶対次に旅する目標にしようなんてこともある。メモしておいて帰ってから調べるのだ。
「SKYWARD」では、いろんな旅のエッセイが載っていて、結構楽しい。
最近は、なんだか、この作家、浅田次郎氏のエッセイが多いなあって感じてた。
それがいやなわけではなくて、むしろ好きな作家である。
楽しく読ませていただいてる。
多分、その中に出てきたやつを、まとめて本にしたのがこれではないかと思うけど、どうなんやろ。
ただし、これは、コロナ全盛の頃の話みたい。
旅に出られない頃の話みたい。
そやから、ちとおもろくない。
やっぱり旅の実感がたくさん感じられる話がええですなあ。
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ。
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