最近読んだ本、「弥勒」、「マンハッタンの哀愁」。

  • 2024年11月4日
  • 13人

「弥勒」。

篠田節子。

 

あじあん

ヒマラヤの奥の小さな国に、ひっそりと、しかし華麗で洗練された、仏教美術と芸術と文化があった。

新聞社に勤める永岡英彰、美術展などイベントなどを企画するのが担当だ。
妻が、あるパーティにつけてきた飾り櫛を見て、訪れたことのあるヒマラヤの奥の小さな国、バスキム王国のことを思い出した。
とても美しい国であった。
風景だけでなく、人々の暮らしが美しい。幸せの国とはこのことか。
特に仏像や仏具に見られる仏教様式がすばらしい。そしてそれにまつわる伝統工芸や伝統芸能がその国の文化として根付いている。
カースト制度がいまだに残るとはいえ、バスキム仏教を中心とした精神と暮らしと信仰が美を生み出したのである。
首都、カターの街で王、イシェ・サーカルに謁見したこともある。とてもすばらしい人格者であった。
是非、この国の美術をテーマとした展示会を開きたい。
しかし、国外に持ち出せないはずの美術品が密かに日本に来ていた。
そして、逃げ出してきた人もいる。連絡のとれない人もいるようだ。
あの国に何かが起こっている。
もう少しでうまく行きかけた美術展の企画がポシャった。あの国で何が起きているかどうしても知りたい。
しかし、手段がない。今は鎖国状態。
それでも行きたい。
密入国しかないのか。インドの奥地から入る方法があるかも。
どんどん面白くなる。
譲り受けたバイクで行けるとこまで行こう。
そして彼が見たものは・・・・
実は革命が起きていた。
権力の交代というよりは、理想の国づくりを目指した人たちによる革命だ。
誰もが幸せになれる・・・ 誰もが平等になれる・・・ 誰もが同じように働き、同じように糧を得る・・・
そんなことできるのか?
あの仏教芸術はどうなるの?
見事な仏像が投げ捨てられていた。
美しい舞を舞っていた美少女たちは?
人々の信仰は?
何か恐ろしいことが起こっている?
彼は、その真っ只中に巻き込まれ、拉致されてしまった。
果たしてどうなるのか・・・
理想の国はできるのか・・・
とても面白い。
手に汗をにぎる。
さて・・・

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度

星四つ。

「マンハッタンの哀愁」。

ジョルジュ・シムノン 著。

あじあん

ニューヨーク、マンハッタンの裏通り、男と女が出会った・・・

フランスの有名作家、ミステリー作家でもあるジョルジュ・シムノンの本。
さすがお洒落で、スマートだ。
ちょっとビターで憂いを秘めて・・・カッコいい。
フランソワ・コンプはニューヨークにいた。
およそ住まいというにはお粗末なアパートだった。
隣の部屋に女が訪ねてくる。どうして金曜の夜だけなのか?
早朝のかすかな光のなかを一人きりで立ち去っていく彼女。
ある日、彼は、ベッドに入る決心がつかずに一晩中町をうろついていた。場末のバー。
店内には庶民の倦怠のにおいが・・・・
隣の女を眺めた・・  午前4時をすぎていた。
たばこをいただけないかしら・・
そして、2人は別の店へ・・・ ウィスキーを一杯だけ・・・
そして、また・・・
5セント玉を頂戴。自動蓄音機、甘美なメロディ、この曲が終わったら店を出よう。
あなたはどこに住んでるの? 昨日の朝から私には住む家がないの・・・
男と女・・・
出会いと別れ・・・・・、そして・・・
とてもカッコいい。
絵になる。
映画になる。
ちょっと出来過ぎ的でもある。
カッコ良すぎるとこもある。
とても面白くもある。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

あじあん

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