「陥穽 陸奥宗光の青春」
辻原 登 著
「日本外交の父」が辿った波乱万丈の若き日々」
わしは和歌山県の九度山町に住んでいる。
和歌山県生まれでもある。
郷土の偉人、陸奥宗光は尊敬してるし、興味もある。
この本を見てすぐに飛びついた。
とても良い。
素晴らしい。
陸奥宗光の父、伊達宗広は冀州藩主に気に入られ30歳代で、すでに藩の中枢を担う要職にあった。
しかし、将軍継承にからむお家騒動など、藩内のクーデターがあって失脚、田辺にお預けとなってしまった。
伊達小二郎(後の陸奥宗光)と母、妹2人は、所払いの処分となり、城下より十里以遠の地へ追放となった。
勝手に行って、勝手に生きろという話。恐ろしい。
そして、行き着いたのが、わしが住んでる九度山町のあたり。
このあたりは、十里以遠であるし、紀州藩領ではなく、高野山領である。
縁あって、この地の岡氏の庇護を受けた。
そして、玉置氏宅で暮らすことになった。
なるほど、なるほど、岡氏の子孫も玉置氏の子孫もまだこの地に残ってはる。家もある。
さまざまな逸話や、遺物が残っている。この本よりももっと詳しい話を知ってはる方などもおられる。
知ってる土地、知ってる人たちが話題になると本を読んでてもとても楽しい。
橋本市も出てくるし、五条市も出てくる。高野山に上る町石道も活躍する。
すばらしい。ワクワクする。
そして、江戸に出る。
英語との出会い、アーネスト・サトウとの出会い、伊藤俊輔との出会い・・・
彼の真骨頂が形作られて行く・・
そして、勝海舟との出会い・・
坂本龍馬と・・・
そして、司馬遼太郎の世界?
司馬遼太郎の世界では読めなかった様々なことが浮かび上がる。
なるほどそうだったのか。
そして幕末動乱にまっしぐら。
司馬遼太郎の世界。
しかし、知らない面がとても良い。
そして、明治維新、その後の世界。
政府の中枢に向かってまっしぐら・・・
とはならない。
痛恨の大失敗? 何かに心奪われた大失策? 大間違い?
本当にそやろか?
後の歴史を知ってるからそう言えるだけではないのか?
同じ人生をやり直しても、同じことをするんではないのか?
あかんとわかっててもやらざるを得ないことやったんではないのか。
それでも、諸外国との不平等な関係を打破する道を切り開いた功績は絶対的に素晴らしいのではないか。
全て含めて、偉大なる人であったのではなかろうか。
分厚い本やったけど一気に読んでしまった。
とてもよかった。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
「蹴りたい背中」
綿矢 りさ 著。
史上最年少の芥川賞作家。
これは受賞作であるらしい。
ベストセラーであるらしい。
にな川とオリチャン、ハツとにな川、ハツと絹代、さて、彼らの青春は?
なんだか没入できない。
とても上手な文章だと思う。
さすが芥川賞作家。
人物描写、感情描写、とても美味いと思う。
若者たちの暮らしが生き生きと・・・
オタクの生態がまざまざと・・
悩みやいじめ・・
でも、なんだか没入できへん。
わしが爺さんやからなんやろね。
なんだかおもろない。
わしの感性が鈍いからなんやろね。
わしの勝手なおすすめ度
星三つ。
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