「油断大敵」
ドアが閉まる。電車が動き始めた。
今住んでる田舎の駅だ。1時間に2本、各停電車が走ってる。終点で急行に乗り換えて都会に出ることができる。
ただ、心のどこかに何か違和感。不安感。変に体が軽い。
しまった。リュックを駅のベンチに忘れた。外を見たら、確かにある。
けど取りに行かれへん。また、やってしもた。
次の駅から、取りにもどって出直すと、1時間以上のロスになる。焦らんとよう考える。リュックがなくてもなんとかなりそう。駅の売店に電話して、モノは押さえておいてもらおう。いつもと違う大きめの荷物を持ってたんでそっちに気をとられて油断してた。
ある日、昔住んでた堺にいた。車に乗ってた。
いつもの走り慣れた裏道を走ってた。
いつもの曲がり角、クイっと自然に曲がった。おやピーっと笛が。やってもた。
影に隠れたおまわりさん。まんまと狙いすました一旦停止違反。標識なんて全く気がつかんかった。
切符を切られただけでは済まへん。高齢者認知症講習がやってくる。
飲み過ぎ、食べ過ぎ問題もある。
胃の手術から5年経った。経過は順調。でも消化力はまだまだだ。食事の量や酒の量は以前よりは随分少なくなってる。しかも多すぎたら極端にしんどくなる。しかも、多すぎ信号が体からやってこない。美味しいんでついやってしもたら痛い目に合う。適量を目で覚えんとあかんのだ。
「胡蝶の夢」
昔、昔の話だ。
ある日、ある時、行きつけの飲み屋で酒を飲んでいた。
今から思えばまだ若かった頃だ。
カウンターだけのその店では、時々隣り合う人と話をしたり、その話が盛り上がったりすることがあった。まあそんなことはよくある話で、それ以上距離が縮まるというようなことはめったにない。
その日は、となりに、わしより少々年上の女性が座っていた。別嬪さんでもないし、色っぽくもないし、人間的な魅力があるふうでもなかった。
それでも、いつのまにか酔いにまかせてしゃべってたら、いつのまにか、間合いをつめてきはった。
この後・・・・?
お誘い・・・? なんでも買うたるで・・・
わしはそんなん慣れてへんで・・・
ハンサムでもマッチョでもなんでもない・・・
ただのデブおじさんだ。これはヤバそうやなあ・・・、一体何なんや?・・
なんとなく話が盛り上がらんように・・・じわじわと消えていくように・・
願いつつ、お酒を飲み終わって、お終いにする。
後で聞いたら、この方の旦那は、某危ない筋の方面の人で、その時は塀の中に居てはったらしい。
おおこわっ! くわばら。くわばら。
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