最近読んだ本、「天路の旅人」、「天災ものがたり」。

  • 2024年5月2日
  • 30人

「天路の旅人」。

沢木耕太郎 著

あじあん

ブッダガヤで聞いた盲目の芸人の太鼓の音を西川も聴いていたのか。

この本、図書館の待ち時間、今までの最長やったかも、1年以上待ちましたわ。

やっぱり大人気の作家ですなあ。

待った甲斐があった。歳取って弱った目をこすりつつ、寝る間もおしんで、ご飯もそこそこに一生懸命読んだくせに終わるのが惜しい。しみじみ読んでしまう。

西川一三、「秘境西域八年の潜行」2000ページの著書がベースになっている。

25歳のとき、戦争末期から終戦直後頃にかけて、蒙古人巡礼者ロブサン・サンボーになりすまし 中国から、チベット、ネパール、インドと、巡り歩いた苦難と冒険の旅の物語だ。

彼は日本軍の密偵なのか? そう装ってるだけなのか? ただの旅行者なのか?

何とために? 何を求めて?

満州から内蒙古へ? 砂漠を西へ。更に西へ。

盗賊、匪賊に襲われないよう、隊商に紛れて?

西へ。

どうして日本人とバレない?

気候や治安だけではない。山越え、しかも高度数千メートルの未開の土地を踏破しないといけない。

苦難の旅を克明に綴った本人の原稿は既に出版されている。沢木はこれを読み解きながら、西川に詳しいインタビューをする。記憶の底から、記録の裏側から様々なことが明らかになる。こうして紡ぎ直された旅が読者をワクワクする冒険の世界に連れて行ってくれる。

読みながら、一緒に歩いてる気分になれる。一緒に困難を耐える。危機を凌ぐ。頑張れ、頑張れと声援してる。

筆の力ですなあ。

因みに、そこここで、わしのささやかなアジアの旅と交錯してるとこがあるのがまた嬉しい。

中国では、北京や瀋陽、ハルピンなど東北の方。四川省や雲南省。西安や敦煌、トルファン、ウルムチなど。

ネパールでは、聖地、ルンビニやポカラ、あるいは、エベレストが見えるエベレスト街道歩きなど。

インドでは、シッキムやガントク、ダージリンなど。ブータンやチベットに近いところ。

わしらはただの観光旅行、冒険も何もないけど、とても楽しかった。そこで見たなにかしかの雰囲気はそれなりに蘇ってきて、読んでてワクワクするではないか。

序章 雪の中から

第一章 現れたもの

第二章 密偵志願

第三章 ゴビの砂漠へ

第四章 最初の別れ

第五章 駝夫として

第六章 さらに深く

第七章 無人地帯

第八章 白い嶺の向こうに

第九章 ヒマラヤの怒り

第十章 聖と卑と

第十一章 死の旅

第十二章 ここではなく

第十三章 仏に会う

第十四章 波濤の彼方

第十五章 ふたたびの祖国

素晴らしい。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星五つ。

「天災ものがたり」。

角井慶喜 著。

あじあん

武士の一分は防災にあり。

「銀河鉄道の父」を読んで以来、ついこの人の本があったら読んでしまう。

・一国の国主 天文十一年甲府洪水

 武田信玄の信玄堤の話。

・漁師 明治二十九年三陸沖地震

 日本は何度も津波に襲われている。

・人身売買商 寛喜二年大飢饉

 大飢饉があるたびに、娘が売られる。妻が売られる。あるいは村ごと?

・除灰作業員 宝永四年富士山噴火

 富士山大噴火のときの噴煙被害の話。

・囚人 明暦三年江戸大火

 江戸の名物は火事?

・小学校教師 昭和三十八年裏日本豪雪

災害に耐えて、乗り越えてきたひとたちの物語。

南海トラフはやってくるのか?

台風の被害は大きくなるばっかり?

集中豪雨、大火事、落雷。

天災は忘れる前にもやってくる。恐ろしや。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星三つ。

あじあん

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