「フェルマーの最終定理」。
サイモン・シン 著。
面白い数学なんてあるの? ありました。
本の帯に書いてある通り。
とても面白い。つい夢中で読んでしまった。
随分前に、書店に並んでるのをみて気になってたけど、難しいだけなんやろなあって敬遠してた。最近ちょっと気になって読んでみることにした。
これは面白い。
いきなり惹きつけられた。難しい数学の公式やら理屈やら、なんやらを知らなくても、興味なくても、そういう発見の喜び、解明の楽しさが伝わってくる。
素晴らしい筆の力だ。
そして、何百年にもわたる人類最大の数学テーマ、「フェルマーの最終定理」が証明された。
その日から過去に遡る。
17世紀以降、幾多の数学者、あまたの天才をとりこにしたこの課題が、どのように取り組まれた、いかに挫折したか。
なんだか、ミステリーを読んでるみたい。
そしてなにより嬉しいのは、この照明に最大限貢献したのが、日本人数学者谷山豊、志村五郎が唱えた、谷山=志村予想であったというのだ。
この予想を証明することがフェルマーの最終定理を解くことと同じことになるというのだ。
すばらしい。
しかも天才、谷山豊は若くして、自殺してしまった。
恋愛が破綻したからなのか? しかし、相手の女性も後を追うように自殺。
どれほどのドラマが隠されていたのか?
今となってはわからない。
数学は男性だけの世界ではない。女性の数学者の活躍も大いに語られる。
通常、こういう世界の話に、東洋人や女性が登場することはあまりないけど、この作者がインド系の人だからかどうか、きちんと語られてるところがとても好感が持てるというふうに、翻訳者の後書きにも記されていた。
同感である。
学問のとても難しい領域の話を、まるで上質のミステリーであるかのようにワクワクして追いかける楽しみがこの本にはある。
すばらしい筆のちからではないか。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
「チボの狂宴」。
マリオ・パルガス=リョサ 著。
ドミニカ共和国。31年に及ぶ圧政を敷いた稀代の独裁者、トゥルヒーリョの身に迫る暗殺計画。
トゥルヒーリョって独裁者がいたっていうのは聞いたことくらいはある。
あんまり知らんかった。
中南米にかぎらず、あちらこちらに独裁者やら強権、覇権、なんちゃらかんちゃらやっかいそうな人が最近特に多いような気がする。
その極め付けみたいな、トゥルヒーリョに待ち受けていた運命とは?
とても面白い。
ウラニア。元大臣、上院議員の娘、アメリカに留学した美人で、才女。
その彼女に起きたこととは?
路上に車を停め、銃を持って潜んでいる若者たち。
彼らは誰を待っているのか? 何をしようとしているのか。
国を救った英雄。権力の権化。大魔王?
トゥルヒーリョを取り巻く人たち。
この3つを軸に物語が進む。
とても面白い。
悪の権化は稀代の人たらしでもあったようだ。
その目をみたら、射すくめられ身動きできなくなり、次の瞬間には身も心も捧げてしまうらしい。
悪魔に魅入られたように。
金も権力も女も、いくらでも流れ込んでくる。
あろうことか、高官の妻であっても、夫がいないときに勝手に訪問して・・・
そのうち、いる時であっても・・・
そして、みずからの妻や娘を差し出すものさえ・・・
ウラニアの身に起こったことは?
圧政に、暴挙に、理不尽に耐えかねて、銃を持って待っている若者たちは果たして、彼を暗殺することができるのか?
そして、その瞬間から、空が晴れたかのように自由と平和が訪れるのか?
固唾をのむ瞬間が近づく・・・
とても面白い。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ。
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