昼一番の来客。
さて、4日目が始まった。
ギャラリーの前の路地は全くの裏通り、観光客が通ることは滅多にない。
とても良い感じの路地裏だ。
しかも通天閣が見える。
時々買い物のおばちゃんが通ったりする。その後に、自転車の音がして止まった。
若い男の人が入ってきた。
にこやかに挨拶してくれる。わしも嬉しい。
パラっと作品を見てはる。あんまり興味ある風ではなさそう。
急に色々喋り始めた。
野球の話題が中心だ。家のこととか、友達のこと。
一方的に喋って、相槌をもとめたりする。
なんだか話が噛み合わへん。
結構声がでかい。ちょっと怖い。
そのうち別のお客さんが入ってきた。ほっとする。
彼は、来客ノートの何か書いてる。
そのうち、彼だけが残った。
ちょっと怖い。
なんだかわかってきた。
この人はちょっと違った行動をする人なんや。
専門的な知識がないんでそれが何なんかは全くわからへん。
例えば、ちょっと前にBS放送で、「アスリッドとラファエル」っていうミステリー番組をやってた。とても人気のやつらしい。
自閉症のアストリッドが特殊な能力を発揮して、事件の謎を解決していくというやつだ。
自閉症は病気ではない。それを理解しないとコミュニケーションが難しい。そんなことがとてもよくわかる番組でもあった。
この人がそういう人かどうかはようわからん。なんとなく違う世界を纏ってはるのは間違いない。
オーストラリアでも出会ったことが。
そう言えば、ずっと前に、オーストラリアのダーウィンでたまたま、知人の知人の芸術家がおられたのがきっかけで、一緒にグループ展をやったことがあった。
その時の何日目か、友人と2人でギャラリーの当番をしてたら、アポリジニの人が一人、元気よく入ってきた。大きな声で何か言うてはるけど、わからへん、最初はわしらの英語力のせいやと思ってた。根気良く、話をつなげてみるけど、コミュニケーションが成り立たへん。なんだか酒について喋ってるみたいやけど、売りたいのか、買いたいのか、欲しいのか、要らんのか、なんかわからへん。アポリジニがどうというより、なんだか、違う行動パターンの人らしい。
結局は、何がなんやらわからんうちに出て行きはった。
千違万別。
世の中、いろんな人があって良いと思う。
それが病気とは限らへん。
ハンディキャップかもしれん。
お互いがゆるっとやっていけたら良いと思う。
わしかって、歳とともにできへんことだらけ。
痴呆に認知症、腰が動かん、足が動かん。
それでも今のところなんとかやってます。
それぞれが違って当たり前。
多様性の時代。
生きていくには知識も要るなあ。