「ショパン 炎のバラード」、ロベルト・コトロネーオ
ショパンのバラード第4番ヘ短調作品52、10分程の曲だ。ごく小品と言えるこの曲から
よくもこんな手に汗を握り、興奮で頭がしびれるような物語りを発想できたものだ。
実に周到に準備され、企みに満ちた世界が待っている。
なるほど楽譜というものは、コンピュータのプログラミングコードとは全くちがうものだった。
ただ、指示通り弾いていれば音楽になるというものではなかったのだ。楽譜は唯の道標にすぎなくて、
たどり方は無限にあって、その結果、どんな妖しい虚像を見せてくれるかは演奏者次第なのだ。
老いたる巨匠が登場する。ショパン弾きの天才と言われてきた男だ。巨匠の前にはもはや未知なるものも、
越えなければいけない壁も存在しないかのようだ。
しかし、ある日、男が現れる。
ショパンのバラード第4番に秘密の手稿が存在するという。
ある日、女が現れる。
ショパンとジョルジュ・サンドとの間に生まれた娘と同じ名のソランジューだ。
何故秘密の手稿が存在するのか?
ソランジューとは何者か?
ナチスの残党がチリに持ちさったものは?
ロシアの青年がシベリアに送られる前に残したものは?
こうなるとどうしてもバラード第4番が聞きたくなる。
手元にないので早速買って聞いた。
なるほど、マジョルカ島の晩年の心の嵐の音が聞こえてくるようだ。
「雲南北ラオスの旅」、樋口英夫
今回のベトナム、サパの旅の一つのきっかけにもなった本だ。
ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム、中国が国境を接するメコン河の上流を旅する話だ。
有る時はタイ領に接岸し、或る時はラオス領に接岸しながらスローボートで川を流れおりていくのって
いろんな意味でヘビーでディープな旅に違いない。
中国は雲南に行って、河口の近く、建水、元陽というところまでは行ったことがある。
今回はベトナムで河口の向かい側ラオカイからサパまで行った。
とりあえず行き易いところをちょろちょろ触ってみたというところだ。
次回はもうすこし、奥まで入ってみたいものだ。
時間は少し余裕ができた。お金はあまりかからなさそうだ。
後は体力と言葉と勇気がたりない。
もっと現地の人と触れあえなければ画にはならないではないか。
毎週火曜は最近読んだ本の話です。
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