最近読んだ本、「百年の藍」、「ひとり旅、ひとり酒」

  • 2023年9月24日
  • 16人

「百年の藍」。

増山実 著。

あじあん

岡山ジーンズ発祥の物語。

もう10年以上前の話になる。岡山のジーンズが有名らしいということで、長距離バスに乗って見に行ったことがある。

その頃は、藍染というのにとても興味があった。中国やベトナム、ラオス、タイ、などなどアジアの田舎に行った時に天然藍で染めた素朴な生地や衣類を買って帰るのが好きだった。で、児島に素敵なジーンズの店があると聞いて行って見たのだ。でもその頃は、デニムの生地というよりはその藍色に魅せられていたのであって、その土台になるデニムを織るためにはどんだけの苦労があったかということは全く知らんかったし、この旅でもそれに気が付くことがなかった。

この本を読んで初めてわかった次第だ。

とても面白い。

大正12年、鶴来恭蔵は浅草に居た。あこがれの竹久夢二に会いに来たのだ。弟子にしてもらおう。

しかし、突然、関東大震災が。夢二と出会った凌雲閣、日本一の煉瓦塔が目の前で崩れていく。あたりは火の海だ。

知り合った車引の政次、孤児になってしまった少女りょうと被災生活を始める。先が見えない。岡山に帰ろう。その時、アメリカからの救援物資にあった藍色のズボンをもらう。彼はその色にすっかり魅せられてしまった。

なんとも言えない味わい深い色ではないか。それにこの生地がすてきだ。掠れて、ぼやけて華やかではないが分厚く無骨で、親しみ深い。

こんなのええなあ。こんなの作りたい。

そして、彼の生涯かけた奮闘が始まった。

実は彼の実家は、学生服を作る店であった。そこに居候しながらなんとか夢をつなぐ。

しかし、できない。

生地ができない。染めができない。

あの中空の白が風合いの要だ。それが織れないのだ。

一体、どこにその秘密があるのだ?

もちろん元々のアメリカでも、重大な企業秘密? 簡単にはわからない。

恭蔵の夢はどうなるのか?

連れて来た少女、りょうの運命は?

月日は流れる。

夢は消えない。しかし、実を結ぶことはない?

どうすれば? 彼の夢を引き継ぐのか?

戦争の時代が来た。彼らは立ち直れるのか?

そして、とうとう・・・・・・

とても面白い。

 

 

改めてデニムとジーンズに興味を持った。なるほどそうやったんか。

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ半。

あじあん

13年前に買った、「桃太郎ジーンズ」はまだ大事にはいている。

なんと10年保証がついていた。しばらく前にポケットの内側が擦り切れてきて修理しようと思って、これを思い出した。調べて見たら、1ヶ月前に10年が過ぎていた。

残念。自分で直してしまえ。

とても気に入っている。

「ひとり旅、ひとり酒」。

太田和彦 著

あじあん

旅の優雅なひとり酒。

旅の話、酒の話は大好きやからこんな本はとても嬉しい。

日本中をまわって、いろんな街で出会った、いろんな酒場、そしてバーテン、大将、女将さん、いろんな人たちとの楽しい語らい。

ええなあ。どこも行きたくなる。

特に近いと、こんなとこにこんな店があったのかと、すぐにも行きたくなる。

それで、ガッカリすることも時にはある。

古い本を読んだらこうなることが多い。書いた人には未来がわからん。

まして10年もたったら世の中は大変わりではないか。

有名な老舗で100年、200年続いてるとこはええけど、もう既に廃業してしまったり、代替わりしたり、改装したりしてもう雰囲気が変わってしまってたりしてることも多々あるのだ。

まあ、それはしゃあないことですなあ。

なんだか、有名作家がおしゃれなセンスで優雅な酒の旅。迎える方も大歓迎。

たまたま紛れ込んだ認知症爺さんとはちょっと好みが分かれる場面もありそうな。

でも羨ましい。

京都、ミニマリズムとグラマー弁天。

金沢でトビウオを食べそこなう。

境港の煮干にひかれて妖怪参り。

和歌山アロチのジャックローズ。

広島の鯛の鯛とフランス文学。

富山の昆布〆と未亡人の夢。

博多、ラストダンスは私と。

松江、月とイングリッド・バーグマン。

大阪ミナミ、オールドなにわ三大酒場。

岡山、ミモザとけんかえれじい。

長崎美人とステンドグラス。

高知のカツオをマダム・ロゼ。

小浜の鯖は、乾く間もなし。

益田、浦島太郎と日本一の居酒屋。

佐世保、星屑の町のハンバーガー。

鹿児島の薩摩おとこに演歌ながれて。

長浜、湖北の光に女形の色気が。

倉敷、温かな夜、温かな人。

松山の労研饅頭とちあきなおみ。

神戸、ハートのカプチーノ。

 

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星三つ。

あじあん

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