保坂和志、「羽生」
久しぶりにしっかりと読み応えのある本を読んだ。
フルバディッドの佳酒を飲んだ気分だ。
将棋の天才「羽生」の思考の流れを克明に追っている。
今迄漠然と感じてきた、「勝負の世界」とはまるで違ったものだ。
将棋とは指し手が作っていくものでありながら、そうではない。
現実は始まってしまったら勝負の流れが手を作っていく。
お互いにその状況での最善手を探る行いこそが勝負の形をつくっていく
といったものだ。
すばらしい思考ゲームなんだという事がよくわかった。
「羽生」という棋士はすごい。
沢木耕太郎、「彼らの流儀」
沢木が若い頃、放浪したインド、中東の路をまったく同じようにたどって
そして、行方が分からなくなった若者がいる。
ふとしたきっかけでアラブの地に魅せられ、アラブの文字に魅せられ
壮麗なアラブ書道の世界に入って言った人がいる。
ニューヨークでは何でも起こりうる。
街角で孤独に貧に埋もれていく人がいる。
ヌードモデルをしていただけの若い娘が一夜で「マドンナ」になる。
それぞれの人生。
それぞれの生き方。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。