ある日の難波駅。
家に帰るために南海高野線の難波駅のホームで急行を待ってた。
後数分で電車が到着する。
14時過ぎの一番暑い時間帯。屋根のあるホームでもまだ暑い。
乗客は、そこそこ。ベンチで待ってても座れるけど、座ったからと言って涼しくはない。
立ってたら、良い場所に座れる。
だんだん混んでくるから、どっちかというと端の方、少なくとも両側に人が居ない方がましだ。
てなことで、まだあんまり並んでないうちに△マークの待機位置に立っていた。
目線の先は2番線と1番線。
どちらもまだ電車の到着は先らしく、人気はほとんどない。
1番戦のホームのあたりに違和感がある。
ちらっと、人影が動いた。
「んっっ・・・・？？？」
真っ裸？？？ 爺さん？？？
なんかわからんけど、そんな感じ。
駅員が三人ゆるく囲んでる。
確かに何も着てない。右手にパンツらしきものを持ってる。左手は何もない。
へたり込んでるわけではない。普通に立ってる。
威嚇してるようでもないし、叫んだり暴れたりもしてない。
大声で叫ばんと聞こえる距離ではないけど、そんな雰囲気だ。
駅員たちも、介抱しようというような雰囲気でもないし、取り押さえようという雰囲気でもない。
遠巻きにして、どちらかというと、ややこしい景色が見えないよう遮ろうとしてるような風にも見える。
いったいどうしたんやろ？
狂気か、反骨の人か？ はたまた、ただ暑かっただけか。
疑問がいっぱい？？？？？
正装して一本歯の高下駄を履いた人や、ボロボロの服で強烈な匂いを発散させながら電車のベンチシートで寝てる人なんかを見たことはある。
満員電車で大股を広げて周囲の人を威嚇してるようなんも見たことはある。
個性の強そうな人たちは色々みたけど、こんなん初めてやなあ。
どっかの施設から逃げ出して来た？
急に発作が起きた？
でも、ここまでどうやって来た？
改札通ってここまでは難しすぎる？
電車に乗ってきた。乗る時はどうした？
疑問がいっぱい。
まわりの人はどうしてる？ 気がつかへん？ それとも振りしてるだけ？
だれも騒いでない。
でもそのうち間に電車が入ってきた。わしが乗る電車だ。
何がどうなったか確かめたいけど、次の電車にするわけにもいかん。
乗ってしまおう。
てなことでこの話はこれでおしまい。
何の報道もなかったみたいやから大したことにはならなかった？
わかりませんなあ。
憶測は膨らむばかり。
明日は我が身か？ その後は、電車に並ぶたびに向こうのホームを眺めてしまう。
「寂滅為楽」、煩悩よ去れ、悟りの後は楽しいことばかり。
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