「王国」。
中村文則 著。
絶対悪対美しき犯罪者。
一番欲しいものは手に入らないと気づいたのは、いつの頃だったろう。
こないだ読んだ、「掏摸」と対になる作品か。
シゴトはうまくいった?
しかし何かおかしい?
木崎とかかわるな。あいつは化け物だ。えらいことになる。
翔太を助けるには大金がいる。心臓移植が必要な難病だ。そのために仕事を続ける。
仕事が終わった。矢田が待ってる。
しかし、何かおかしい。
矢田は言う、この前のこと、そんな依頼はしてない。これはまずいかもしれん。
ホテルに行ったら男が死んでる。電話が、あなたは鹿島ユリカというんだろう?
これって?
この男に会って盗め。あなたたちは何者なの?
敵の敵は味方なのか? 敵の情報を渡したら信用してもらえるのか?
頭上にはネオンの光さえ照らす、月の輝きがある。太陽が沈んだ後も、その光を盗み、私たちのような存在を照らすーーーー、月。
不幸にさせて、その不幸を泣く、それで興奮する。そんなやつがいるのか?
施設の供に暮らしたという若者が近づいてきた?
果たしてほんもの?
一体誰が誰を操ってるのか?
囮情報でさえ利用できるのか?
ーーこれから起こる巨大な出来事の裏で動いた、美しき娼婦の物語。
わたしは何に翻弄され、何を裏切り、何から逃れたのだろう。
とても面白い。
ぐんぐん読まされる。
夢中で読んでしまう。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ。
「方舟」。
夕木春央 著。
タイムリミットまでおよそ1週間。
柊一はいとこの裕哉のおじさんのの別荘に学生時代の仲間たちが集まった。長野県の山深いところだ。
なんだか楽しいことが始まる?
そして皆は散歩がてら、裕哉が前に来た時みつけたという地下建築を見に行こうということになった。
更に山奥にある何やら、怪しげな宗教団体がらみ? 裏企業?が 建てたやつ?
何に使われてたかようわからんけど、今は廃墟で誰もおらんし、誰も管理してへんみたいやから大丈夫という。
ほんまかな?
行ってみたら、びっくり、ちっちゃな竪穴があるだけ。途中で出会った、3人家族も合流。
9人は恐々中へ。
びっくり。地下3階建ての工場のような施設のような大規模な建築物の中にいた。
しかも、水道完備。自家発電装置も動く。食糧もある。居室もある。
入り口洞窟を監視するモニターまで動いてるではないか。なんだか安心。
なんだかしばらく暮らせそうではないか。
しかし、携帯に電波は届かない。
とりあえず一晩泊まる。なんだか楽しいことが始まる?
一夜あけたら、大きな音が? 地震? 只事ではない。
モニターを見たら入り口の洞窟が大きな石で塞がれてる。ということは皆、外に出られへん。
連絡もできへん。いったいどうしたら?
水も電気も食糧もあるし、トイレもある。しばらくは生き残れる?
では、中の状態を調べて見る。
地下3階は水浸し、地下水が増えている。地下2階は作業場? 拷問道具まであるぞ。
地下1階が居住区域。そして、地下水の増え方からみてほぼ1週間。
あとは地下で死を待つだけ。えらいこっちゃ。
更に、悪いことが!
102号室のドアが開いている。小さな倉庫で、中には首を絞められた遺体が転がっていた。
しかも頭がない。
もちろん犯人はこの中にいる。
入り口を塞いだ岩をよく調べてみたら、1人のちからで動かせそう。しかし、その1人は取り残される。
さて、どうしよう。
犯人を見つけよう。犯人が犠牲なれば皆が助かる。
さて、密室のサバイバルゲームが始まった。
犯人は誰か? 犯人を見つけても、果たして、皆のために犠牲になることを承知するのか?
それを皆が強要したら、それって殺人ではないのか?
それとも誰かが皆のために犠牲になれるのか?
よくある僻地兼密室で起こった殺人、災害が起こって連絡がとれない。
プラス、囚人のジレンマ、ゲームの理論を組み合わせる。
それに生体認証のデジタル時代も組み込んで、なんだか盛りだくさんのミステリーが出来上がった。
ちょっと前に読んだ「硝子の塔の殺人」とかいう本なんかも思い出される。
もうええかな? 飽きたかな? なんて思ったりしたら・・・
そして、あっと驚く・・・・・・
とても面白い。
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ半。