佐藤究、「テスカトリポカ」。
確かに面白い。スピーディでインパクト大。
圧倒的な疾走感で物語の中を走らせてくれる。
けど、何か心がざわつく。
あくまでも小説の中の事。あくまでもフィクション。
しかし、わしの繊細な心は、あまりの暴力シーンや凄惨な表現について
いかれへんことが多い。ハラハラしながら読む。
Ⅰ 顔と心臓
始まりはメキシコ。北西部太平洋側の町、麻薬密売人の町、麻薬カルテルの町。
ルシアは貧しさから逃げ出したい。誰もがアメリカに行きたい。
しかし、兄は無惨に殺された。彼女は南を目指す。アカプルコへ。そして最後は日本へ。
波乱の暮らしが始まった。カジノとヤクザ。コシモ誕生。
一方、メキシコ最大の麻薬組織ロス・カサソラス対ドゴ・カルテルの抗争は激しさを増す。
とうとう、ロス・カサソラスの4人の兄弟が襲撃された。徹底的な殺戮だ。
バルミオだけが生き延びた。潜航しながら逃げる。南へ。南へ。チリ、アルゼンチン、
リベリア、ケープタウン、バース?
逃げる。
彼の祖母はリベルタ。インディオの呪術師の末裔? 彼は彼女がアステカ王国の神話を語るのを
聞いて育ったのだ。
テスカトリポカ様
敵の幹部を捕らえて、心臓をえぐりだし、アステカの神に捧げます。
Ⅱ 麻薬密売人と医師
バルミロはジャカルタに辿り着いた。移動式屋台を手に入れコブラの串焼きを売る。
調理師エル・コンネーロと呼ばれる男がその人だ。
彼は、ここで麻薬の密売を始めるのか?
いや、新たなビジネスを見つける?
今度はなんと臓器密売、臓器移植の世界だ。
ここにもプロの世界、シンジケートの世界が存在する。
彼は、独自の道を開拓するのか? できるのか?
彼が目をつけたのは日本人だ。
彼らと組んで、彼らを使って、彼らを利用して、新しいビジネス。
心臓移植? ドナーは汚染されていない新鮮な子供がいい?
どこに?
なんと恐ろしい世界?
Ⅲ 断頭台
インドネシアの外航クルーズ船、ドゥニア・ビルで何が行われてる?
アクセサリー工房、座波パブロとはカスタムナイフの名人。
彼がからんだ仕事とは?
自動車解体場で行われてることとは?
殺人マシーンとダークサイト?
悍ましい。
Ⅳ 夜と嵐
チョクロ 子供たちの心臓 日記
コシモとバルミロの親密
順太の日記 殺される
煙をはく鏡、テスカトリポカに捧げるものとは?
黒曜石のナイフで? 抉り出す?
面白いけどねえ??
チャールズ・ブコウスキー、「勝手に生きろ!」。
これは、本棚の隅にながいこと眠ってたやつ。
こういう本って昔流行ったなあ。
投げやり。やけくそ。世を拗ねてる。ムチャクチャ。無謀。
わけわからん。
自虐ネタ。
アメリカのとても過酷な時代。実は、普通の暮らしを普通に切り取っただけかもしれん。
それが、なんとも不条理な世界になる。
過去からのメッセージ。浮かび上がれない若者の叫び。
ロードものとして読んでも面白い。悲惨で希望のない暮らしの中でも光るユーモア。
とても良い。
カッコよくもある。
今になって、こういう本を読んで見ると、とても良い。
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ありがとうございました。